使うあてがなさそうなので出しておきます。
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カフェでの待ち合わせはときに面倒だ。見知らぬ男女たちからひっきりなしに声をかけられる。待ち合わせの相手はもう20分も遅れていた。任務では自分にも部下にも遅刻など決して許さないくせに、ひょっとして私は気安く見られているのだろうか。少しく腹に据えかねて、私の向かいに座りたがった青年に目で許可を与えたところで、遅れていたその男が青年の背後に立った。私は席を立ち上がった。男は私の向かいに腰掛けた青年をちらりと見たが表情は崩さず、そのまま背を向けて歩き出した。私は後を追った。
「冷たいね。少しは妬いてくれないのかい?」
「寄って来るもんは仕方なかろう。」
「きみにだって寄って来る男や女はいくらでもいるんだろうしね。」
「そういうことだ。」
少佐は煙草に火をつけた。私はそこでようやく、少佐の腹立ちと嫉妬に気付いた。それを押し隠そうとする静かな努力の下で怒りがよじれて、苦々しい嫉妬がさらに増幅していることにも。手に負えない自分の感情を持て余している彼は、いつもにも増してぞくぞくするほどセクシーだった。今、背後から首筋に指を這わせてやれば、身をよじって逃げ出すだろうな。そして狼狽を隠そうとして怒りを表に出す。不機嫌というマスクを被って私を怒鳴りつける。私の会話の持っていきようによっては、嫉妬と怒りと私への欲望に手をつけかねて、私を傷つけようとするかもしれない。ふふ、それはもう何度もやったな。
私も若かったんだよ。きみに出される手なら、平手打ちでも握りこぶしでもよかった。
それはもう本当に何度もやった。きみと寝る前も。寝てからも。
よくわかっている。きみは貞淑な私が好きだ。従順な私が好きだ。そして私がただ貞淑で従順であるだけならば、きみは決して私のベッドにはやってこなかっただろう。
だからそうやって人知れず苦しみながら、私への嫉妬をきみの心のどこかおさまりのいい場所にうまく落とし込もうと、いつまでももがき苦しむがいいよ。どのみちそれは決して消えないものなのだから。私の心に燃えさかるきみへの欲望が、灼熱の炎を永遠に揺らめかせて私の身を焦がし続けるのと同様に。きみを私だけのものにしたい。きみを私の城に人知れず閉じ込めたい。きみのその素敵な首筋に幅の広い黒い皮の首輪をはめて、頭が持ち上がらないほどに重い鎖を巻きつけて俯かせたい。その鎖を手にすることができるのは私だけだ。淫蕩な私を虜にした、嫉妬深い私の囚人。
少佐は背後の私を少しも考慮せずに歩を進めていた。トレンチコートの少佐の背を眺めながら、いまふと身を翻して彼の背後から消えればどうだろうと考えた。彼は私を追うだろうか?私を探すだろうか?よく考える間もなく体が動いた。私は横道に滑り込み、さまよい出た別の大通りで車を拾い、そのまま私の国へ帰った。
* * *
それが半年ほど前の話で、私は自分があとどれほど感情を押さえつけていられるものなのだろうかと訝しみながら、 ノースダウンズの城のそばにある、私だけの隠れ家にひっそりと閉じこもっていた。暖炉に火を入れて炎を見つめながら、誂えたばかりの皮の首輪を片手でもてあそんだ。首輪には重い鎖が取り付けてあった。(続く)
「冷たいね。少しは妬いてくれないのかい?」
「寄って来るもんは仕方なかろう。」
「きみにだって寄って来る男や女はいくらでもいるんだろうしね。」
「そういうことだ。」
少佐は煙草に火をつけた。私はそこでようやく、少佐の腹立ちと嫉妬に気付いた。それを押し隠そうとする静かな努力の下で怒りがよじれて、苦々しい嫉妬がさらに増幅していることにも。手に負えない自分の感情を持て余している彼は、いつもにも増してぞくぞくするほどセクシーだった。今、背後から首筋に指を這わせてやれば、身をよじって逃げ出すだろうな。そして狼狽を隠そうとして怒りを表に出す。不機嫌というマスクを被って私を怒鳴りつける。私の会話の持っていきようによっては、嫉妬と怒りと私への欲望に手をつけかねて、私を傷つけようとするかもしれない。ふふ、それはもう何度もやったな。
私も若かったんだよ。きみに出される手なら、平手打ちでも握りこぶしでもよかった。
それはもう本当に何度もやった。きみと寝る前も。寝てからも。
よくわかっている。きみは貞淑な私が好きだ。従順な私が好きだ。そして私がただ貞淑で従順であるだけならば、きみは決して私のベッドにはやってこなかっただろう。
だからそうやって人知れず苦しみながら、私への嫉妬をきみの心のどこかおさまりのいい場所にうまく落とし込もうと、いつまでももがき苦しむがいいよ。どのみちそれは決して消えないものなのだから。私の心に燃えさかるきみへの欲望が、灼熱の炎を永遠に揺らめかせて私の身を焦がし続けるのと同様に。きみを私だけのものにしたい。きみを私の城に人知れず閉じ込めたい。きみのその素敵な首筋に幅の広い黒い皮の首輪をはめて、頭が持ち上がらないほどに重い鎖を巻きつけて俯かせたい。その鎖を手にすることができるのは私だけだ。淫蕩な私を虜にした、嫉妬深い私の囚人。
少佐は背後の私を少しも考慮せずに歩を進めていた。トレンチコートの少佐の背を眺めながら、いまふと身を翻して彼の背後から消えればどうだろうと考えた。彼は私を追うだろうか?私を探すだろうか?よく考える間もなく体が動いた。私は横道に滑り込み、さまよい出た別の大通りで車を拾い、そのまま私の国へ帰った。
* * *
それが半年ほど前の話で、私は自分があとどれほど感情を押さえつけていられるものなのだろうかと訝しみながら、 ノースダウンズの城のそばにある、私だけの隠れ家にひっそりと閉じこもっていた。暖炉に火を入れて炎を見つめながら、誂えたばかりの皮の首輪を片手でもてあそんだ。首輪には重い鎖が取り付けてあった。(続く)
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