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2011/09/15

A Thousand Break-ups(5/7) Afterward - by Margaret Price

A THOUSAND BREAK-UPS - Five: Afterward
by Margaret Price
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「エレベーターからなるべく遠く離れた部屋を、少佐が自分でわざわざ選んだのかい?」少佐の部屋であり、かつ作戦本部でもあるスイートルームまでやっとのことで少佐を運び込み、伯爵はぶつぶつ文句を言った。

部下数人がかりでも、意識を失った少佐をそれなりにみっともなくない格好で部屋まで運び込むのは大変な作業だった。たぶん最も簡単な方法は誰かが肩に担ぎ上げることだったが、今日の少佐の服装を考えると、その方法はちょっと他人の目をひきすぎた。結局、伯爵が少佐の片手を肩に担ぎ上げ、Zが反対側を担当した。彼らは半分は担ぎ上げ、半分は引きずるような形で少佐を部屋までつれて帰った。

少佐をベッドの上に投げ出した後、伯爵は痛む肩と腕を伸ばしたり曲げたりした。。それから彼は当惑する部下達に向かってため息​​をついた。「少佐のパジャマはどこだい?」

この一言で、部下達全員が現実に帰った。Aはさっと顔をあげ、Bと顔を見合わせた。

伯爵はすでに少佐の上半身を引き起こし、座らせていた。「AくんとBくんは、少佐の服を脱がせるのを手伝ってくれ。」彼は部下達の顔に浮かぶ恐怖を無視して、顔をあげた。「Gくん、私のメイクアップボックスの中に化粧落としがあるんだ。悪いけど取ってきてくれないかい?」彼はひらひらと手を振った。「いや、いい。箱ごと持ってきて欲しい。それからお湯が欲しいな。それでこの少佐の化粧を落とそう。」

Zが咳払いをした。「伯爵、私にお手伝いできることはありますか?」

伯爵ははZを見上げた。「このイブニングガウンを脱がせたら、ペチコートを探ってくれ。書類を手渡すことになっていたのはきみだったよね?」

そこに書類を隠してあるからだという事実にもかかわらず、尊敬する指揮官が着用していたドレスのスカートをめくると考えただけで、Zは真っ赤になった。彼はすぐにその場に背を向けて、少佐のパジャマを取りに行った。二組あるはずだった。

「ああそれから、ボーナム君を呼んできてくれないかい。彼にしかできないことがあるんだ。」

彼は用件をはっきり言わずに、気を失ったままの少佐に注意を戻した。AとBが少佐の体を支え、伯爵は付け毛やら宝石やら受信機やらをはずし、次々にGに手渡した。それから彼はファスナーを降ろそうとしたが、あちこちで布をかんでいて降ろすのは難しそうだった。伯爵はついにあきらめ、ドレスの上をびりっと引き裂いて下に下ろし、簡単に仕事を終えることにした。上半身にはすぐにパジャマが着せられた。

あれこれと苦労した数分後に、さっきまでドレスだったものは床に落ちた。Zは隠しポケットのついたペティコートを取り上げ、すぐに隣の部屋に向かった。Gはバスルームに姿を消し、洗面台に熱い湯を準備し始めた。AとBは顔を見合わせ、変装の最後の部分が取り払われたときに、伯爵が彼らに何を命じるのか心配していた。ほっとしたことに、それは単純に、下着姿の少佐にパジャマのズボンをはかせろという、まずもって妥当な指示だった。

少佐にズボンを穿かせるまで、伯爵は部下達が何を心配しているのかに気づきすらしなかった。彼は大きくため息をついたが、直接のコメントは避けた。「Bくん、カバーを下ろしてくれるかい?」彼は顔をあげて、バスルームでおしぼりとタオルを用意しているGを見た。彼はメイクアップボックスに向かって手を振った。「箱には除光液も入っているからね、Gくん!」

少佐に毛布がかけられた後で、ボーナムがやってきた。伯爵が少佐の化粧を落としてやっている間、Gは爪からマニキュアを落としていた。

「何が起こったんです?いったい少佐に何が?」ボーナムは息を呑んだ。

伯爵は顔を挙げてため息をつき、手のひらで彼を呼び寄せた。「話は長くなるんだけどね・・・」

ボーナムは、さっきまでドレスだった布の塊を見つめた。「ジェームスは喜びませんよ、きっと。」

伯爵は化粧を落とす作業に戻った。それは濡れた布で、化粧と化粧落としを拭い取るという作業だった。「助かったことに、それはディオールのコピーなんだよ。それにジェームズ君は、NATOに請求書をまわせばいいだけさ。」

この時点では、ボーナムはベッドの足元に立っていた。「ご用件はそれだけですか?」

「まさか。」伯爵は顔をあげた。「きみの知識を・・・ちょっとデリケートな問題で必要としているんだ。」

* * *

少佐がついに意識を取り戻したのは、翌日の早い時間だった。体に残留している謎の化学物質にもかかわらず、彼の体内時計がいつもどおり作動したのだった。彼はこめかみに手をやり、目を開いてうめいた。寝返りを打つと、隣で伯爵が丸まっているのが目に入った。彼は小さく微笑み、それから顔をしかめた。おかしい。こいつはここで一体何をしとるんだ?そして今は任務中ではないか!

クラウスが起き上がろうして呻いたのと、伯爵が目覚めたのが同時だった。伯爵がおきあがったとき、少佐は伯爵が毛布の上で眠っていて、少佐自身は別の毛布にくるまっていたことに気が付いた。それに、少佐は自分のパジャマを着こんでいた。

「おはよう。」伯爵は気遣わしげに言った。「きみ、気分はどうだい?」

「最悪だ。」このときになって、少佐は何とか起き上がり、ベッドの下に足を降ろすことが出来た。「くそっ、何が起こったんだ?」おれが覚えとる最後の記憶は、あの馬鹿者がおれに・・・あれを飲ませようと、あれ・・・」

「睡眠薬入りの飲み物をね。」

クラウスはさっと振り返り、それを後悔した。"Was?" (なんだこれは?)彼は頭に手をやったが、記憶は空白のままだった。それから彼はふらつく足で立ち上がった。「小便だ。」

「きみ、しっかり立てるかい?」

少佐の脳裏にいくつもの思考が浮かんできた。その中には、バスルームで伯爵といちゃつく、というのまであった。「用を足すぐらいなら、なんとかな。」彼はそういってバスルームに向かい、後ろ手でドアを閉めた。

伯爵はさっと立ち上がり、隣室の部下達に指揮官がとうとう起き上がったことを知らせた。大喜びの部下達を残して部屋に戻ったとき、少佐はまだバスルームから出てきていなかった。伯爵はベッドの端に腰掛けて待った。

数分後、ふらふらしたままの少佐が戻り、伯爵の横にどすんと腰を下ろした。

伯爵は彼の落胆ぶりをみて、突然その理由を察した。「少佐、きみの任務は失敗ではなく成功したんだよ。」彼は念を押すように言った。「Zくんは予定通りに書類を受け取り、次の人物に届けたんだ。」

少佐は顔をあげ、目を開いた。彼がなにかを言う前に、伯爵は昨夜のことをかいつまんで説明した。誰かが少佐の飲み物に薬品を混ぜたこと、そいつが少佐を襲ったこと。それから何が起こったか。

「カナダ人?」主は静かに言った。おそらくフランス系カナダ人だ。それで訛りの説明がつく。

「ボーナム君がこういう仕事を請け負ってくれる医師を呼んできて、きみから採血したんだ。」伯爵は続けた。「それから、Zくんがそれを持ってNATOのパリ支部で血液検査をさせている。薬物検査にひっかかる心配はないんだよ。」

少佐がどう応えるべきか考えているうちに、ドアで控えめなノックがあり、Aの声が続いた。「少佐?」

伯爵は、返事をする前に少佐に流し目をくれた。「入っておいで、Aくん。」

Aはおずおずとドアを開け、ふたりがベッドに腰掛けているのを見て明らかに安心したようだった。しかも二人ともしっかり服を着て。「ええと、少佐、Zが戻りました。サミットは予定通り開催されるそうです。」彼は少し間を置いた。「朝食にルームサービスを呼んだほうがいいでしょうか?」

「いらん。総員ボンに帰る準備だ。」

「少佐。何かを食べる前にここを離れるのは許さないよ。」伯爵が乱暴に割って入った。

「では朝食後に出発だ。」少佐は言い返した。彼はふらつく足で立ち上がり、ドアに向かって手を振った。「さあ、出て行け。おまえがおれのけつをいやらしい目で見ているうちは、おれは着替えができん。」

「いやらしい目でなんか見てないよ。色目を使ってるだけさ。」伯爵は少佐の言葉遣いを訂正しながら立ち上がった。「それに、きみの尻がとっても素敵なのは事実だしね。」

少佐は口論の気力もないのに気が付いた。「なんでもいい。おい、そのパジャマは綺麗に洗って返せよ。」

「誰が返すなんて言ったんだい?」伯爵はにんまり笑って、自分が着ているパジャマの胸の辺りを両手で撫でさすった。すごーく気持ちいいんだよ、これ。」

「おれのパジャマを着てそんなわいせつなことは、考えることすら許さん!」

「むしろこのパジャマを脱いでから、わいせつなことをしたいものだねえ。」伯爵が歌いように言いながらドアを閉じると、ドアの向こうから「変態!」と罵る声が聞こえた。彼は、部下Aに向かって輝くような笑顔を向けた。「喉は完全に回復したみたいだよ。」そう言って、伯爵は着替えのために自分の部屋に戻って行った。

AがBの顔を見ると、Bは首をすくめていた。ボンへのフライトは長距離ではない。天に感謝だ。





A THOUSAND BREAK-UPS 6/7 Payment へ続く・・・

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