A THOUSAND BREAK-UPS - One: Break-up
by Margaret Price
Fried Potatoes com - A THOUSAND BREAK-UPS - One: Break-up
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注:かわいそうなクラウスくんにドレスを着せてあげようという思いつき、というのがこのお話のすべてです。推敲中に批評と追加プロットを与えてくれた仲間の読者たちに感謝します。
お題:妄想・強迫観念・執念・敵対関係。クラウスが任務のために女装する。
警告:ロレンスが出ます。
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「なにを言っとるか!だめだだめだだめだ!」
部下たちは、少佐のオフィスのドアの向こうから届く落雷のような叫びに身を縮めた。さらには机を拳骨で殴りつけたと思しき音に続き、神をも恐れぬ一連の悪罵。部下たちの机の間を、ひそかな視線が飛び交った。「出て行け!おれの視界から消えうせろ!」
グローリア伯爵の声も同じくらい大きかった。「ああ、喜んでそうするよ!」
出し抜けにドアが乱暴に開き、伯爵が顔色を変えて飛び出してきた瞬間、部下たちは突然仕事に取り掛かった。横目でちらちらと少佐の個室のドアを伺いながら。「外には釣りきれないぐらいの魚がいるさ。思い知るがいいよ!」伯爵はそう言って、ずかずかと部屋を横切った。
「おまえみたいな腐ったエサに食いつく魚がいたら見ものだぜ。」少佐は背後から罵言を浴びせた。
伯爵は踵でくるりと回った。瞳が激怒にめらめらと燃えていた。「ろくでなし!」
返事のかわりに、少佐のドアがひどい音をたてて閉まった。
伯爵の鮮やかな青い目が大きく広がり、顔色が変わった。喉もとから低いうなりが声が洩れた。彼は身を翻し、オフィスのドアをちからまかせに閉めた。窓ガラスがビリビリ揺れた。
長い長い沈黙が降りた。部下たちは全員、息を殺して次に起こることを待っていた。例によって、少佐が個室から勢いよく飛び出してきた。そのままドアから姿を消し、廊下をどかどかと走ってゆく音だけが後に残った。
「5分は大丈夫よ。」Gが宣言した。
エージェントたちはさっとGの机の周りに集まった。Gはノートの下からカレンダーをひっぱりだした。「さあ、今回はどのくらい?」彼は日付と時刻をメモし、周囲に訊ねた。
「あれは結構ひどいことになってると思うぞ。」Aが意見を述べた。「昨日からずっとだろ。もう長いこと、あそこまでやりあったのは見てないぞ。」
Zはノートをめくっていた。「ええと、・・・10カ月ぶりぐらいかな。」彼は確認した。
「そのあと仲直りするのに、どのくらいかかったっけ?」Gが訊ねた。
「まる一週間。」
Aが鼻を鳴らした。「そうだっけ?あのひとたちはもう一年以上、まる一週間を喧嘩なしで過ごせたことがないはずだぞ。」
Zが彼のノートを再確認した。「じゃ、六日間だ。」
「だと思った。」
「さあ、誰から始める?」Gはインクの切れたペンを放り投げ、新しいペンを持って声をかけた。
「僕は6日間に張ってみる。」Zはきっぱり言った。
Rは、現金を差し出した。「俺は三日だな。いつも伯爵のほうから折れるだろ。」
「三日ぴったりに張る気か?」Aが訊ねた。
Rは妙な顔つきになった。「え、日と時間まで指定なの?」
Gはにんまり笑いつつ、Zの手からノートを取り上げ、素早くページをめくってうなずいた。「そうね、もっと細かく分けたほうがいいかもね。たとえば6時間単位でどう?」その場にいる全員から賭け金を取ったあと、全員はもぐもぐと同意した。確かに、何時間後かに急に和解する可能性もあった。
エージェント達が自席に戻るのと、少佐が戻ってきたのはほぼ同時だった。少佐は片手にコーヒー、反対の手に火のついた煙草を持っていた。後者は良い兆候ではなかった。伯爵といい仲になってからの少佐は煙草の量をかなり減らしていて、どうにも解消できないストレスがあるときだけ、申し訳程度に火をつける程度になっていたはずだった。それ以外は、多かれ少なかれいつも通りの様子に戻ったように見えた。彼は無言のまま大股でオフィスに戻り、後ろ手で静かにドアを閉めた。
その日の後半は、全くの平穏無事に終わった 。
* * *
翌朝Gは出社するなり、机の上に載っている封筒を見て驚いた。封筒を開き、中に入っている紙幣と貨幣の合計をオフィスでの賭けに張るようにという書付が添えられているのを見て、彼の驚きは当惑に変わった。
「誰がここに置いたのよ!」Gは封筒を差し上げて叫んだ。
「何だそれ?」Aが訊ねた。
Gは少佐の個室の方へ視線を走らせた。
「少佐なら部長のところだ。」AはGの無言の問いに答えてやった。
Gは封筒の中身について話す前に、ほぉっとため息をついた。「これね、『いかなる種類の和解も、昨日から4週間以内には行われない』に賭けるって書いてあるの。」
全員が動きを止めて頭を上げた。
「なんだって?」Lが息を呑んだ。「まじかよ。」
「言った通りよ。そして賭け金はここ。」Gは言い足す前に咳払いをした。「おまけに、Gってサインしてあるの。」
エージェントRは冷笑した。「おまえが書いたんだろ、G?」
Gは彼をじろりと睨んだ。
「なぐり書きのせいで読み間違いってことはないだろうな・・・」Aの声が続き、Gは紙を差し出して見せ付けた。間違えようの無い文字が並んでいた。内容は、手書きではなくしっかりタイプされていたのだ。「ああ…間違いない、Gって書いてある。」
「まだ賭けてないやつは誰だっけ?」Lが確認した。
「Dだけよ。まだ病院にいるわ。」Gは答えた。
Aがすぐに名簿をチェックし、うなずいた。「あともう一ヶ月かそのくらい、リハビリの予定だ。」彼は椅子に座りなおした。「たぶんDが誰かに頼んだんだろ。で、頼まれたやつが間違えて書いた、と。」彼は電話をつかみあげて、すぐに病院のDと連絡を取った。受話器を置くなり、同じように当惑した顔で同僚達の顔を見回した。「なんにも知らないってさ。で、えーと・・・、二日半に張ってくれって。」
何人かが面白がってくすくす笑った。
「で、これをどうしようかしら?」Gは現金が入った封筒を持ち上げ、周りに訊いた。「封筒にレシートを入れて、今日のオフィスを離れるときにあたしのトレイに残しといてくれって書いてあるのよ。」
「部長じゃないかな?」Rが言い出した。何人かが嫌そうな顔をした。Rは弁解するように言った。「きっとそうだよ。仲間に入れて欲しがってるのを、誰にも知られたくないんだよ。」
「じゃあ、部長がGのために賭けたんだな。」Qは皮肉たっぷりに言った。
「多分、ちょっとひねったやりかたを試してみたんだじゃないかな。」Rが答えた。「Dがいないことを知ってて、はっきり名前を出さないようにはどうしたらいいかと考えて。」
AとGは視線を見合わせ、くるりと目玉をまわした。どういうわけか、部長かそういうやり方でくるとは思えなかった。
「それか、Gの周りを嗅ぎまわっていることを、少佐に知られたくないんだよ。」Qが話に加わった。。「前回何が起こったか覚えてるだろ?」
全員が笑った。忘れようったって忘れられるものではなかった。怒り狂った少佐が上司の前に仁王立ちになり、部下の一人に向かって任務外の行動を仕掛けたら、今後は銃弾をお見舞いするぞと脅しつけたのを。
それ以上の会話が進む前に、機関銃のような少佐の足音が廊下から響いてきたため、その問題の追及はそこで終わった。
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A THOUSAND BREAK-UPS 2/7 Mission in Paris へ続く・・・
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