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Chapter Six
Have We Met? (初めてだよね?)
クラウスはまぶたを上げ、そして直ちにそれを後悔した。目を開けた瞬間、頭が割れるように痛み、脳天で光が炸裂したからだった。いくら飲んだんだ、おれは。彼はそう呻いて寝返りを打ち、自分の横に伯爵が横たわっているのに気づいてわっと叫び声をあげ、またしてもそれを後悔した。
ドリアンが目を覚ました。彼は片手を頭にやってもぐもぐ言った。「頼むから静かにしてくれ、ジェイムズ君・・・」
「ばかもん。おれはジェイムズじゃないぞ。」クラウスはそう言い返し、起き上がった。彼は自分がパジャマとその上にローブをしっかり着込んでいるのを確認し、ほっとした。それからローブの前をかき合わせてベッドを降りた。
ドリアンは隣の男を見上げて純粋に驚いた顔をしていた。「少佐?」彼もまたそう言って起き上がった。片手を痛む頭に当てたままだった。「なんてことだ、この頭痛ときたら・・・」かれはうめき声を上げた。「あのコニャックには何が入ってたんだ?」
「この変質者め!おれをここまでへべれけにしやがって・・・」
「私はなんにもしてないよ!」ドリアンは二日酔いが許す限りの大声で抗議した。「飲もうと言ったのはきみじゃないか!」
クラウスは眉をしかめた。「おれたちはなんで一緒に寝てるんだ?」
ドリアンは自分がベッドにいることに突然気付いたような顔で下を見回した。「分からないけど、何だかぼんやりと、やるべきじゃないことをやってたような覚えがある・・・」それから彼は顔をあげて、少佐の顔がおなじみの驚愕を浮かべているのを見つめた。「少佐、きみがいつもみたいに慌てふためくだけじゃ済まないことが起こったのを覚えてるかい?覚えてないなら言ってしまうけど、私たちはお互いに大変よからぬこと・・・乱暴をしでかすところだったんだ。」
クラウスは目を閉じ、ずきずき痛む頭に手をやった。「くそっ!もう一杯飲まんとやっとれん。」
ドリアンは気の毒そうな目で彼を見やり、ベッドから出た。自分がしっかり服を着ているのに気付いた。二人の間に何も起こらなかったのは確実だった。「ねえ、キッチンに朝食を作れるようなちゃんとした食べ物はあるのかな?」
「なんでこんなときにメシのことなんぞ考えられるんだ?」クラウスはうなり声を上げた。
(だって私はウィスキーを一本丸ごと飲み干したわけじゃないからね) ドリアンは思ったことを胸の中に留めておいた。彼は階下のトイレに寄り、それからキッチンへ足を踏み入れた。すぐにクラウスもやってきた。普通の服に着替えていた。そのことを口に出す前に、ドリアンは自分の服も確認した。事態は思わしくないようだった。
「私は卵、ベーコン、ソーセージとかならちゃんと料理できるんだよ。」彼は冷蔵庫をのぞきこみながら言った。「うーん、ベーコンがないね。」
クラウスは聞いているのかいないのか分からないような顔でうなずき、伯爵が朝食の準備を始めているテーブルに座り込んだ。
「コーヒーでも飲むかい、少佐?」
「コーヒー一杯のためなら人でも殺せる気分だな。」彼はそう答えた。
「きみが言うと本気で物騒に響くよね、それ。」
クラウスが気のきいた言い返しを思いつく間もなく、やかんがピーピーと音を立てて沸騰を知らせた。その音にクラウスは再び頭を抱えた。
ドリアンはネスカフェの瓶をテーブルに出し、マグカップを置いた。それから水の入ったグラスにアスピリンを添えてやった。彼はやかんを掴みあげて振り返り、クラウスがインスタントコーヒーの粉を機械的にマグカップに入れるのを見つめた。クラウスがその動作を終えるなり、ドリアンはマグカップへ熱湯を注ぎこんだ。
「すまんな。」クラウスは気だるげにそう言い、コーヒーをかき混ぜた。
ドリアンは目をぱちくりさせて答えた。「どういたしまして。」
「ソーセージが焦げとるぞ。」
「わっ、たいへんだ!」ドリアンは慌ててキッチンに戻り、火を小さくした。それから彼は物慣れた手つきで、別のフライパンに卵をいくつか割り入れた。「昔、パリで一番のシェフに口説かれたことがあってね。」と、彼は気軽な口調で言った。「料理を教える代わりに、ベッドのことを教えてもらおうと期待してたみたいだよ。」
クラウスの眉が上がった。「期待してた?」
ドリアンは卵を皿に移し、ソーセージを手際よく添えてから、トーストを何枚か準備した。「でもすんごい太っちょだったんだ。」彼は鼻先で笑って見せた。
クラウスは背もたれに体を預け、まるで初めて会う人間を見るかのように伯爵を見つめた。
クラウスの方を振り返ったとき、ドリアンは少佐の表情に驚きが浮かんでいるのに気が付いてたじろいだ。
「どうしたんだい?」
「おまえがそんな風なのを見るのは初めてだ。」クラウスはとうとうそう言った。
「どんな風?料理をするってこと?」ドリアンは自分用の朝食を準備して、まだ自分を見つめたままの相手の正面の席に腰掛けた。「ゆうべも何かを料理したような気がするんだけど・・・」
「料理とかそういう意味じゃない。そうじゃなくて、ごく普通の・・・。」
ドリアンはにやっと笑い、顔にかかる髪をさっとかきあげた。「私の愛しいきみときたら、いったい何を言い出すんだか。私が『普通』じゃないことぐらい、よく知ってるくせにね。」
「そういうのはやめろ、ドリアン。」クラウスは鋭くそう言い、声を荒げたことをすぐに後悔した。彼は頭に手をやって目を閉じ、そのままの格好で言った。「そんな振りをするのは・・・、もうよせ。」
伯爵は驚いて口を開けた。相手の顔を見つめるのは今度は彼の番だった。「きみ、いま私のことをドリアンと呼んだよね。」かれは小さな声でそう尋ねた。
「わかっとる。」
「どうして今ごろになって?」
クラウスは相手の顔を正面から見つめた。「おれがドリアンに会うのが初めてだからだ。」
ドリアンは椅子にもたれて、少佐の顔をまじまじと見つめた。それから右手を差し出してこういった。「始めまして。私の名はドリアンと言うんだ。」
クラウスは差し出された手を見つめて息を吐いた。なんてこった。「始めてだな。おれの名はクラウスだ。」
ドリアンは、部屋中に灯りをともしたような素晴らしい笑みを浮かべた。「クラウス、私を週末の山荘に招待してくれてありがとう。」彼はそう礼を言って、自分の朝食に手をつけ始めたた。
「週末?」
ドリアンは顔をあげた。「この実験はもう一度やりなおすべきだろ。」
クラウスは少し考えた。実験とやらを始める気があるわけではなかったが、不意に、自分の向かいに座っている見慣れない人物に興味をそそられている自分に気が付いた。「そうだな。」彼はとうとうそう答えた。それから自分の朝食が用意されていることに気付き、その隣のグラスとアスピリンに目をやった。「その実験とやらは、しらふでやるべきだな。」
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続く・・・
こんなにかわゆらしい、How do you do?が世の中にまたとあるでしょうか。うふうふうふww
返信削除身悶えしながら拝読しております。
クリスマスプレゼントに続き豪華なお年玉、ありがとうございます!物語は佳境ですね、年末年始のお忙しい中アップありがとうございます(^人^)、今後も楽しみにしております!