Fried Potatoes com - FEET OF CLAY 10 Don’t Panic
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Chapter Ten
Don’t Panic -「落ち着け」
「ああ、クラウス。きみとのこのことをまるっきり全部忘れてしまったなんて。」ドリアンは喉を鳴らした。「死んでしまえ、あのアメリカ人ども。」
彼はうつぶせになり、クラウスからオイルマッサージを受けていた。クラウスの手はドリアンの緊張をほぐしつつ、肩から背中に下りた。これは二人にとって欠かせない前戯だった。それは初めての夜に緊張しきっていたクラウスを落ち着かせるために始まり、やがてクラウスはそこから、ドリアンに触れられることがどれほどの悦びを生み出すかを知った。
「少しは落ち着いたか?」
「素晴らしいよ。」ドリアンはうっとりとため息をついた。閉じたままの目が安心と微笑を浮かべていた。
クラウスは面白がっているような表情を浮かべつつ、伯爵の背をさらに下り、両足へ手を掛けた。最初の片方、それからもう片方を。それから少しためらった。前戯に続くことをこのまま始めてよいものだろうか。彼はその前に、深刻な傷害を受けた伯爵のその場所を注意深く調べた。伯爵は緊張しつつも、クラウスのなすがままに任せた。裂傷は注意深く縫合されており、予後も順調で完治していたと言ってよかった。だがクラウスは、伯爵の内部が自分の規格はずれの持ち物を受け入れられるほどに治癒しきっているかどうかを危ぶんでいた。
代わりに、彼はドリアンの胸をマッサージすることにした。体を裏返すつもりで腰に手をやったところで、ドリアンの手が彼の手首を掴んだ。続く鋭い悲鳴を耳にして、髪が逆立った。ベッドから落ちないようにするのがやっとだった。「ドリアン・・・?」
伯爵は体をずらせてクラウスを見上げた。瞳には狼狽の色だけが浮かんでいた。「やめてくれ、お願いだから!」彼はそういって、自分を守るように体を丸めた。
なんてことだ。こいつはおれに強姦されそうになったことを思い出したんだ。「ドリアン。」クラウスは落ち着いた声で言った。「おまえを傷つけるつもりはない。」
ドリアンは朦朧とした目で少佐を見上げ、瞬きをした。荒い息遣いで、恐怖に打ちひしがれているように見えた。クラウスがもう一度声をかけると、その聞きなれた声を認識して表情が明るくなり、体の緊張が解けた。「ああ、少佐。ああ・・・」彼は体を起こして、クラウスにしがみついた。まるで腕の力を緩めればクラウスが跡形もなく消えてゆくとでもいうように。「なにかを思い出したんだ。ほんの一瞬、自分でもわけがわからなくなって、取り乱してしまったんだ。」
「おれが悪かった。」震えるドリアンを腕の中に抱きしめながら、クラウスは毅然として言った。ドリアンが精神的な外傷を乗り越えるためには、まだ時間が必要だった。「くそっ、おれはなんてことをしようとしてたんだ。まえはひどいやりかたで暴行されたんだ。それをおれは・・・」
「でもクラウス、わたしは覚えていないんだよ。」
クラウスは深いため息をついた。「いや、覚えているはずだ。でなければそんな反応にならん。」彼はドリアンの髪に唇を寄せて、金髪を梳き、頭部の傷口に触れないように注意深く髪を撫でた。そして、まだ震えているドリアンに向かって、十年前にこの寝室で何があったかを語り出した。両者の対決が火花を散らしあい、激怒した少佐が危うく伯爵を強姦しそうになったその全詳細と、その後の意外な成り行きを。
ドリアンは信じられないと言う風に頭を振った。「もしかするとその最初の部分は思い出さないほうがいいのかもしれない・・・。恐ろしいよ。」
クラウスはうめき声を上げて、自分の過ちを悟った。「言うべきではなかった。おまえが自分で記憶を取り戻すのを待つべきだった。」彼はドリアンの髪にもう一度キスした。「おれは大ばか者だ。」
ドリアンはこれを聞いて、笑い出さずに入られなかった。少佐が自分をそんなふうに言うなんて。「どうしてそんなに我慢強く待ってくれるんだい?」
「おまえとは長年の付き合いだ。我慢強くでもならんと、とっくに絞め殺しとる。」
ドリアンは目をと閉じて、クラウスにしがみつく手に力を込めた。「殺す」と言われた瞬間に、ざわざわと不安が立ち上った。クラウスはそんなドリアンの背を優しく撫でた。少佐は冗談を言っただけだ。ドリアンはそう自分に言い聞かせた。それから突然思い出した。少佐は私といっしょにベッドにいる。しかもなにも着ていない。そして私はまだ彼に何にもしてないんだ!
「いいことだけ思い出せて、嫌なことはこのままずっと忘れたままだといいな。」ドリアンは自分がそう呟くのを聞いた。「ねえ、このまま何も思い出せなかったら?」
「おれが覚えておく。」
「約束してくれる。」
「もちろんだ。」
ドリアンの言葉の後にはクラウスの驚きが続いた。ドリアンはクラウスをベッドの上に押し倒し、唇を襲って熱烈なキスを浴びせた。クラウスがようやく抱擁を返し、キスに応え始めると、ドリアンは本格的に甘え始めた。彼の手がクラウスの体中を這いまわり、髪に指を通し、腕をからめ、胸を愛撫し、そしてとうとう硬くそそりたったクラウスの中心へと降りた。ドリアンはのけぞってそれを見つめた。きらめく瞳が彼の欲情を物語っていた。「ああ、クラウス。わたしときたら、一体どうしてこんなすごいのを忘れちゃったんだろう?」彼はたまらないとでもいいたげなため息をついた。「すごすぎる。」
クラウスは苦笑した。この化け物じみた持ち物のせいで、どれだけ決まりの悪い思いをした経験があったことか。彼の自意識はずっとこれを持て余していた。ドリアンがこれを発見し、一目で魅せられて夢中になるまでは。ふたりが始まった最初の頃、この大きさのせいで秘め事は常に時間をかけてゆっくりと慣らさなければならなかった。どうやら、十年ぶりにまたそれを繰り返す必要があるらしかった。ドリアンが精神的にも肉体的に癒えた暁には。
クラウスは目を閉じ、深く息を吸って堪えた。伯爵がクラウスのものを掌中におさめ、じらすような愛撫をしばし与えてから、舌先でちろちろと舐めはじめたのだった。ドリアンの唇がそこへ吸い付き、先から半ばまでが口の中に呑み込まれたときには、低いうめき声を漏らさずにはいられなかった。ドリアンの顔が上下した。クラウスは両手を頭の上へやり、ベッドの柵をしっかりと掴んだ。そうでもしなければ、うっかりドリアンに手を伸ばし、体を掴んでもう一度悲鳴を上げさせかねなかった。
ドリアンは夢見心地だった。心の底から欲しかった相手が何の抵抗も無しにこちらに体を預け、なすがままを許している。クラウスがくぐもった快感の声を漏らした瞬間、ドリアンは真剣に祈った。夢なら覚めるな。少佐、きみって完璧だよ。十年前のわたしは、いったいどうやってきみを落としたんだろう。
彼は巻毛をまとめていた髪紐をはずし、クラウスの根元をきつく縛り上げて射精できないようにした。そうしておいてから、舌と唇でさんざんに苛めた。舐め、喉の奥までくわえこんで、クラウスを死ぬほどよがらせた。クラウスは苦悶とも快楽とも付かぬうめき声を上げ続けたが、やがてドリアンが極限まで自分をじらして楽しんでいることに真剣に苛立ち、反応し始めた。彼は容赦ない愛撫に体をねじり苦しみながら、ベッドの柵をしっかりと握り締め、体を弓なりにそらして耐えようとた。半時間もの攻防の末には、力を込めて閉じたまぶたにすら痛みを覚えるほどだった。十数分後、彼はついに降伏を告げた。「ドリアン・・・、頼む、いかせてくれ・・・、気が狂いそうだ!」
「ふふ、我慢強くなったんじゃなかたっけ?」
「おれに嫌がらせはせんと・・・約束したはずだぞ・・・」クラウスは喘ぎながら言い返した。
ドリアンは笑った。笑いながら、黒光りする先端に舌を這わせて、もう一度クラウスの苦悶を誘った。それからおかしそうに言った。「少佐、あんまりよすぎて英語がおかしくなってるよ。わたしはきみに嫌がらせてなんかしてないさ。きみをくわえこんでるだけで。」
「どっちだっていい!早くしてくれ!」
ドリアンは微笑まずにはいられなかった。記憶は失ったかもしれないけれど、体で覚えた手管は忘れていない。はちきれそうなクラウスの根元から髪紐をほどき、口を開けて奥まで呑み込んだ。激しく吸うにつれて、クラウスの喉からもはや押さえきれない快感の叫びが漏れた。彼は声を上げながら精を放った。伯爵の喉をめがけて腰を突かずに堪えるのが精一杯だった。ドリアンが巧みに舌を使って最後の一滴までを舐め取ると、あとには完全に消耗した、荒い息遣いのクラウスが残った。
クラウスの横に倒れこんだとき、ドリアンの表情には得意げな色が輝いていた。「こういうのは忘れてないんだな、わたしは。」彼は自慢げに言った。
「そんなもん、一瞬たりとも心配しとらん。」クラウスは寝返りを打って伯爵に寄り添い、十年前と代わらない、燃えるようなキスを返した。
「きみを愛してるよ、わたしの美しい少佐殿。」ドリアンは満足に満ちたため息をついた。
「わかっとる。」クラウスはにやりと笑い、片手を伯爵の体の上で遊ばせ始めた。手はゆっくりと下へ降り、その場所へ近づいた。指が茂みをかき分け、硬さを増したその場所に触れると、ドリアンはせつなげな声を漏らした。伯爵は目を閉じて仰向けになり、体の力を抜いた。窓から差す夕焼けを背に浴びながら、クラウスは愛撫を続けた。いくらもたたないうちに、ドリアンは快感に身をゆだね始めた。クラウスはドリアンのみぞおちに唇を寄せた。ひとつ、またひとつと、キスごとにその場所に近づいた。そして穏やかに訊ねた。「お返しが欲しいか?」
ドリアンは驚きの声をようやく押さえた。ああ、神よ!なんて素晴らしい!ああ、クラウス、きみの思うままにされたいよ。もうずっと以前から、きみがわたしにあらゆる不埒なことをするのを待ち望んでいた・・・。
「クラウス。きみがすることならわたしは、なんだって・・・」
ドリアンがとうとう自分から求めはじめたときには、クラウスは頬を緩めずに入られなかった。十年が失われたとしても、ドリアンはドリアンのままだった。クラウスは少しも急かずにゆっくりと唇を進めた。唇がその場所に届くと、クラウスは位置を変えた。彼が腿を割ると、ドリアンは両足を広げて迎え入れた。クラウスの手のひらの愛撫がが両腿を登り、そそり立つ中心に達すると、伯爵のこらえきれない甘い声が漏れた。待ち受けているものを手のひらに納める代わりに、クラウスは金色の茂みに指をくぐらせ始めた。ドリアンは意外そうに息を呑み、それからくすくす笑いながらのけぞった。クラウスの手はそのまま体の中心を下がり、その下に揺れるものを両手で愛し始めた。ドリアンはうめき声を我慢できなかった。それからとうとう、クラウスはドリアンのものを口に含んだ。
ドリアンはもう一度体を弓なりにしならせ、だが今度は息が揺れ出すのをこらえられなくなった。震える指がクラウスの髪を掴んだ。ほとんど即座に、彼は無我夢中で喘ぎ始めた。さっき自分がクラウスにした通りの、舌と唇の悪戯をそっくりそのままお返しされ、太ももでクラウスの顔を挟み込んで耐えた。伯爵の体力を気遣って、クラウスは自分がされたような小道具は使わなかった。ただ舌で攻めた。数分後には、ドリアンはクラウスの下で喘ぎながらびくびくと痙攣しはじめていた。
「少佐、わたしは、わたしはもう・・・」 そしてドリアンは頭を強く振り、悦びの声を上げながら絶頂を迎えた。今まで経験したことのないような快感に揺さぶられていた。その絶頂の中でぼんやりと思った。これも、記憶の中に失われてしまったもののひとつなんだ・・・。でもそれを最初からもう一度体験できるなんて、なんて素敵なんだ・・・。彼は繰り返し打ち寄せる快感の余韻の波に身をゆだねたまま、そう考えた。
クラウスは、恋人が気を失わんばかりに感じているのをじっと見つめていた。ドリアンの太腿から力が抜けると、クラウスは満足げな微笑を浮かべ、隣に横たわって体を伸ばした。
「少佐、何を言っていいかわからないよ・・・」ドリアンは小さなため息を付いて、もういちどクラウスにキスした。
クラウスは笑い出した。「その割にはここへ来るのを随分と渋っとったようだがな。」
「ここへ来る決意をした自分を誉めてやりたいよ。」ドリアンはクラウスの胸に頭を預け、ゆるぎない鼓動に聴き入った。「私はきみにちっともふさわしくないね。」
「逆だろうが。おれの方ころおまえには似つかわしくない。」
ドリアンの返答は、彼の持てる情熱のすべてを注ぎ込んだキスだった。過去の記憶を取り戻すか失ったままかは、二人にとってはもはや最重要課題ではなくなりつつあった。ドリアンは十年を失ったのかもしれなかったが、引き換えに手練で包容力豊かな恋人を得た。そしてその恋人こそが、はるか過去に追いかけていた恋慕の相手その人だったということなのだ。クラウスの現在と未来がすべて彼のものである限り、過去にこだわらずとも満足すべきなのかもしれなかった。
* * *
Chapter Ten
Don’t Panic -「落ち着け」
「ああ、クラウス。きみとのこのことをまるっきり全部忘れてしまったなんて。」ドリアンは喉を鳴らした。「死んでしまえ、あのアメリカ人ども。」
彼はうつぶせになり、クラウスからオイルマッサージを受けていた。クラウスの手はドリアンの緊張をほぐしつつ、肩から背中に下りた。これは二人にとって欠かせない前戯だった。それは初めての夜に緊張しきっていたクラウスを落ち着かせるために始まり、やがてクラウスはそこから、ドリアンに触れられることがどれほどの悦びを生み出すかを知った。
「少しは落ち着いたか?」
「素晴らしいよ。」ドリアンはうっとりとため息をついた。閉じたままの目が安心と微笑を浮かべていた。
クラウスは面白がっているような表情を浮かべつつ、伯爵の背をさらに下り、両足へ手を掛けた。最初の片方、それからもう片方を。それから少しためらった。前戯に続くことをこのまま始めてよいものだろうか。彼はその前に、深刻な傷害を受けた伯爵のその場所を注意深く調べた。伯爵は緊張しつつも、クラウスのなすがままに任せた。裂傷は注意深く縫合されており、予後も順調で完治していたと言ってよかった。だがクラウスは、伯爵の内部が自分の規格はずれの持ち物を受け入れられるほどに治癒しきっているかどうかを危ぶんでいた。
代わりに、彼はドリアンの胸をマッサージすることにした。体を裏返すつもりで腰に手をやったところで、ドリアンの手が彼の手首を掴んだ。続く鋭い悲鳴を耳にして、髪が逆立った。ベッドから落ちないようにするのがやっとだった。「ドリアン・・・?」
伯爵は体をずらせてクラウスを見上げた。瞳には狼狽の色だけが浮かんでいた。「やめてくれ、お願いだから!」彼はそういって、自分を守るように体を丸めた。
なんてことだ。こいつはおれに強姦されそうになったことを思い出したんだ。「ドリアン。」クラウスは落ち着いた声で言った。「おまえを傷つけるつもりはない。」
ドリアンは朦朧とした目で少佐を見上げ、瞬きをした。荒い息遣いで、恐怖に打ちひしがれているように見えた。クラウスがもう一度声をかけると、その聞きなれた声を認識して表情が明るくなり、体の緊張が解けた。「ああ、少佐。ああ・・・」彼は体を起こして、クラウスにしがみついた。まるで腕の力を緩めればクラウスが跡形もなく消えてゆくとでもいうように。「なにかを思い出したんだ。ほんの一瞬、自分でもわけがわからなくなって、取り乱してしまったんだ。」
「おれが悪かった。」震えるドリアンを腕の中に抱きしめながら、クラウスは毅然として言った。ドリアンが精神的な外傷を乗り越えるためには、まだ時間が必要だった。「くそっ、おれはなんてことをしようとしてたんだ。まえはひどいやりかたで暴行されたんだ。それをおれは・・・」
「でもクラウス、わたしは覚えていないんだよ。」
クラウスは深いため息をついた。「いや、覚えているはずだ。でなければそんな反応にならん。」彼はドリアンの髪に唇を寄せて、金髪を梳き、頭部の傷口に触れないように注意深く髪を撫でた。そして、まだ震えているドリアンに向かって、十年前にこの寝室で何があったかを語り出した。両者の対決が火花を散らしあい、激怒した少佐が危うく伯爵を強姦しそうになったその全詳細と、その後の意外な成り行きを。
ドリアンは信じられないと言う風に頭を振った。「もしかするとその最初の部分は思い出さないほうがいいのかもしれない・・・。恐ろしいよ。」
クラウスはうめき声を上げて、自分の過ちを悟った。「言うべきではなかった。おまえが自分で記憶を取り戻すのを待つべきだった。」彼はドリアンの髪にもう一度キスした。「おれは大ばか者だ。」
ドリアンはこれを聞いて、笑い出さずに入られなかった。少佐が自分をそんなふうに言うなんて。「どうしてそんなに我慢強く待ってくれるんだい?」
「おまえとは長年の付き合いだ。我慢強くでもならんと、とっくに絞め殺しとる。」
ドリアンは目をと閉じて、クラウスにしがみつく手に力を込めた。「殺す」と言われた瞬間に、ざわざわと不安が立ち上った。クラウスはそんなドリアンの背を優しく撫でた。少佐は冗談を言っただけだ。ドリアンはそう自分に言い聞かせた。それから突然思い出した。少佐は私といっしょにベッドにいる。しかもなにも着ていない。そして私はまだ彼に何にもしてないんだ!
「いいことだけ思い出せて、嫌なことはこのままずっと忘れたままだといいな。」ドリアンは自分がそう呟くのを聞いた。「ねえ、このまま何も思い出せなかったら?」
「おれが覚えておく。」
「約束してくれる。」
「もちろんだ。」
ドリアンの言葉の後にはクラウスの驚きが続いた。ドリアンはクラウスをベッドの上に押し倒し、唇を襲って熱烈なキスを浴びせた。クラウスがようやく抱擁を返し、キスに応え始めると、ドリアンは本格的に甘え始めた。彼の手がクラウスの体中を這いまわり、髪に指を通し、腕をからめ、胸を愛撫し、そしてとうとう硬くそそりたったクラウスの中心へと降りた。ドリアンはのけぞってそれを見つめた。きらめく瞳が彼の欲情を物語っていた。「ああ、クラウス。わたしときたら、一体どうしてこんなすごいのを忘れちゃったんだろう?」彼はたまらないとでもいいたげなため息をついた。「すごすぎる。」
クラウスは苦笑した。この化け物じみた持ち物のせいで、どれだけ決まりの悪い思いをした経験があったことか。彼の自意識はずっとこれを持て余していた。ドリアンがこれを発見し、一目で魅せられて夢中になるまでは。ふたりが始まった最初の頃、この大きさのせいで秘め事は常に時間をかけてゆっくりと慣らさなければならなかった。どうやら、十年ぶりにまたそれを繰り返す必要があるらしかった。ドリアンが精神的にも肉体的に癒えた暁には。
クラウスは目を閉じ、深く息を吸って堪えた。伯爵がクラウスのものを掌中におさめ、じらすような愛撫をしばし与えてから、舌先でちろちろと舐めはじめたのだった。ドリアンの唇がそこへ吸い付き、先から半ばまでが口の中に呑み込まれたときには、低いうめき声を漏らさずにはいられなかった。ドリアンの顔が上下した。クラウスは両手を頭の上へやり、ベッドの柵をしっかりと掴んだ。そうでもしなければ、うっかりドリアンに手を伸ばし、体を掴んでもう一度悲鳴を上げさせかねなかった。
ドリアンは夢見心地だった。心の底から欲しかった相手が何の抵抗も無しにこちらに体を預け、なすがままを許している。クラウスがくぐもった快感の声を漏らした瞬間、ドリアンは真剣に祈った。夢なら覚めるな。少佐、きみって完璧だよ。十年前のわたしは、いったいどうやってきみを落としたんだろう。
彼は巻毛をまとめていた髪紐をはずし、クラウスの根元をきつく縛り上げて射精できないようにした。そうしておいてから、舌と唇でさんざんに苛めた。舐め、喉の奥までくわえこんで、クラウスを死ぬほどよがらせた。クラウスは苦悶とも快楽とも付かぬうめき声を上げ続けたが、やがてドリアンが極限まで自分をじらして楽しんでいることに真剣に苛立ち、反応し始めた。彼は容赦ない愛撫に体をねじり苦しみながら、ベッドの柵をしっかりと握り締め、体を弓なりにそらして耐えようとた。半時間もの攻防の末には、力を込めて閉じたまぶたにすら痛みを覚えるほどだった。十数分後、彼はついに降伏を告げた。「ドリアン・・・、頼む、いかせてくれ・・・、気が狂いそうだ!」
「ふふ、我慢強くなったんじゃなかたっけ?」
「おれに嫌がらせはせんと・・・約束したはずだぞ・・・」クラウスは喘ぎながら言い返した。
ドリアンは笑った。笑いながら、黒光りする先端に舌を這わせて、もう一度クラウスの苦悶を誘った。それからおかしそうに言った。「少佐、あんまりよすぎて英語がおかしくなってるよ。わたしはきみに嫌がらせてなんかしてないさ。きみをくわえこんでるだけで。」
「どっちだっていい!早くしてくれ!」
ドリアンは微笑まずにはいられなかった。記憶は失ったかもしれないけれど、体で覚えた手管は忘れていない。はちきれそうなクラウスの根元から髪紐をほどき、口を開けて奥まで呑み込んだ。激しく吸うにつれて、クラウスの喉からもはや押さえきれない快感の叫びが漏れた。彼は声を上げながら精を放った。伯爵の喉をめがけて腰を突かずに堪えるのが精一杯だった。ドリアンが巧みに舌を使って最後の一滴までを舐め取ると、あとには完全に消耗した、荒い息遣いのクラウスが残った。
クラウスの横に倒れこんだとき、ドリアンの表情には得意げな色が輝いていた。「こういうのは忘れてないんだな、わたしは。」彼は自慢げに言った。
「そんなもん、一瞬たりとも心配しとらん。」クラウスは寝返りを打って伯爵に寄り添い、十年前と代わらない、燃えるようなキスを返した。
「きみを愛してるよ、わたしの美しい少佐殿。」ドリアンは満足に満ちたため息をついた。
「わかっとる。」クラウスはにやりと笑い、片手を伯爵の体の上で遊ばせ始めた。手はゆっくりと下へ降り、その場所へ近づいた。指が茂みをかき分け、硬さを増したその場所に触れると、ドリアンはせつなげな声を漏らした。伯爵は目を閉じて仰向けになり、体の力を抜いた。窓から差す夕焼けを背に浴びながら、クラウスは愛撫を続けた。いくらもたたないうちに、ドリアンは快感に身をゆだね始めた。クラウスはドリアンのみぞおちに唇を寄せた。ひとつ、またひとつと、キスごとにその場所に近づいた。そして穏やかに訊ねた。「お返しが欲しいか?」
ドリアンは驚きの声をようやく押さえた。ああ、神よ!なんて素晴らしい!ああ、クラウス、きみの思うままにされたいよ。もうずっと以前から、きみがわたしにあらゆる不埒なことをするのを待ち望んでいた・・・。
「クラウス。きみがすることならわたしは、なんだって・・・」
ドリアンがとうとう自分から求めはじめたときには、クラウスは頬を緩めずに入られなかった。十年が失われたとしても、ドリアンはドリアンのままだった。クラウスは少しも急かずにゆっくりと唇を進めた。唇がその場所に届くと、クラウスは位置を変えた。彼が腿を割ると、ドリアンは両足を広げて迎え入れた。クラウスの手のひらの愛撫がが両腿を登り、そそり立つ中心に達すると、伯爵のこらえきれない甘い声が漏れた。待ち受けているものを手のひらに納める代わりに、クラウスは金色の茂みに指をくぐらせ始めた。ドリアンは意外そうに息を呑み、それからくすくす笑いながらのけぞった。クラウスの手はそのまま体の中心を下がり、その下に揺れるものを両手で愛し始めた。ドリアンはうめき声を我慢できなかった。それからとうとう、クラウスはドリアンのものを口に含んだ。
ドリアンはもう一度体を弓なりにしならせ、だが今度は息が揺れ出すのをこらえられなくなった。震える指がクラウスの髪を掴んだ。ほとんど即座に、彼は無我夢中で喘ぎ始めた。さっき自分がクラウスにした通りの、舌と唇の悪戯をそっくりそのままお返しされ、太ももでクラウスの顔を挟み込んで耐えた。伯爵の体力を気遣って、クラウスは自分がされたような小道具は使わなかった。ただ舌で攻めた。数分後には、ドリアンはクラウスの下で喘ぎながらびくびくと痙攣しはじめていた。
「少佐、わたしは、わたしはもう・・・」 そしてドリアンは頭を強く振り、悦びの声を上げながら絶頂を迎えた。今まで経験したことのないような快感に揺さぶられていた。その絶頂の中でぼんやりと思った。これも、記憶の中に失われてしまったもののひとつなんだ・・・。でもそれを最初からもう一度体験できるなんて、なんて素敵なんだ・・・。彼は繰り返し打ち寄せる快感の余韻の波に身をゆだねたまま、そう考えた。
クラウスは、恋人が気を失わんばかりに感じているのをじっと見つめていた。ドリアンの太腿から力が抜けると、クラウスは満足げな微笑を浮かべ、隣に横たわって体を伸ばした。
「少佐、何を言っていいかわからないよ・・・」ドリアンは小さなため息を付いて、もういちどクラウスにキスした。
クラウスは笑い出した。「その割にはここへ来るのを随分と渋っとったようだがな。」
「ここへ来る決意をした自分を誉めてやりたいよ。」ドリアンはクラウスの胸に頭を預け、ゆるぎない鼓動に聴き入った。「私はきみにちっともふさわしくないね。」
「逆だろうが。おれの方ころおまえには似つかわしくない。」
ドリアンの返答は、彼の持てる情熱のすべてを注ぎ込んだキスだった。過去の記憶を取り戻すか失ったままかは、二人にとってはもはや最重要課題ではなくなりつつあった。ドリアンは十年を失ったのかもしれなかったが、引き換えに手練で包容力豊かな恋人を得た。そしてその恋人こそが、はるか過去に追いかけていた恋慕の相手その人だったということなのだ。クラウスの現在と未来がすべて彼のものである限り、過去にこだわらずとも満足すべきなのかもしれなかった。
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