このサイトでは、「エロイカより愛をこめて(From Eroica with Love)」を題材とした、英語での厖大な二次創作群を翻訳しています。サイト管理者には原作者の著作権を侵害する意図は全く無く、またこのサイトにより金銭的な利益を享受するものでもありません。私が享受するのは、Guilty Pleasure - 疚しい楽しみ-だけです。「エ ロイカより愛をこめて」は青池保子氏による漫画作品であり、著作権は青池氏に帰属します。私たちファンはおのおのが、登場人物たちが自分のものだったらいいなと夢想 していますが、残念ながらそうではありません。ただ美しい夢をお借りしているのみです。

2011/10/11

断片01 おれのアポロン

 
 
やまなしおちなしいみなしです。私なりのミッションは、「とにかく伯爵を幸せにしてあげよう!」


-----

「口答えが気に入らないって言われてもね。きみの言いつけをなんでも聞く、ものわかりのいい金髪くんでいるのかい?この私が?それってまんま、Z君じゃないか!」伯爵はくすくす笑った。「きみはZ君に気があるのかな?」

「ばばば、ばっかもんが!けしからんことを言うな!」

数ヶ月ぶりの夜だというのにこの会話だ。夕飯はこいつに付き合って熱いものをたらふく食った。風呂はさっさと済ませた。酒の買い置きはまだある。飲むなら飲む、やるならやる、夜の過ごし方は他にいくらでもあるだろうが。なんだっていつもこんな憎たらしいことばかり言いやがるんだ?

「うろたえすぎだよ。でもほんとはああいう清純なタイプが好きなんだろ。」

「黙らんか!」

「彼の方はどうなんだろ。きみが誘ったら断らないとおもうけどな。」

金髪は巻き毛を指でもてあそびながら、髪を絡めた指を唇に寄せた。やつがよくやる仕草だ。おれは時折それを横目で盗み見る。今も見た。洗い上りの巻き毛はまだしっとりと湿っていて、いつもよりも鈍い金色に見えた。

「部下にそんなことが出来るか!ちがうちがうちがう!部下でなくともあいつに手なんか出さん!」

「ふうん。とすると、きみはZ君には手を出さない。だったら私がZ君みたいないい子ちゃんになっても無駄ってもんだよ。だってなんにもしてくれないんだろ。私は私の路線で、正々堂々とこっちから手を出すさ。さあ、脱ぎたまえ。さっき履き替えたきみの下着がグレーなのはもう調べ済みだ。もったいぶらなくてもいいよ。」

「…。」

「脱ぐか脱がないのかどっちだい。今夜やっとかないと、また数ヶ月先までお預けだよ。今度の任務は長そうなんだろ?」

「…くそっ!」

「私が手伝ってあげるさ…、ほら…。」

「…。」

「私が触れただけでこんなになってる。きみのも、それから私のも…。」

「…。」

「きみが私を気に入らないだなんてうそだよ。」

「…。」

「きみは私に夢中だよね。私もそうだよ。だから、ずっと待っていたんだよ。」

「…。」

「ああ、でもね、きみがZ君に気がないってのは信じてないから。Z君から誘ってきたらきみ、多分断れないよね。」

考える間もなく右手が動いた。

「痛っ!なにするんだよ!」

もう我慢がならなかった。

「なんでこんなときに他の男の話を出すんだおまえは!おれはおまえのそういうところが気に入らんのだ!」

「こういう会話はベッドの上のスパイスだろ!きみは『ほかの男なんか目に入らん。おれにはおまえだだけだ。』とかなんとかかんとか言っときゃいいんだよ!殴ることはないじゃないか、野蛮人!」

「なーにが『おまえだけ』だ。おまえはおれだけなのか?え?言って見ろ!」

目の前の金髪がぐっと返事に詰まった。ほれみろ。はらわたが煮えくり返った。こいつに身持ちなんぞを求めるのは間違いだ。なんでおれだけ馬鹿正直に貞操を守ってやらんとならんのだ。

だから爆弾を落としてやった。

「こんどZが誘ってきたらおれは断らん。こっちから手を出してみてもいい。おまえがいろいろやりかたを教えてくれたしな。」

「言ったね、きみ。…ってちょっとまって、今度って!今度って!」

「数ヶ月に一度の逢瀬が毎回これだ。おれは可愛い部下と出来上がって、公私ともどもに幸せな生活を送った方がいいのかも知れん。おまえもよそで相手に困らんようだしな。」

「…きみがいつかそういうことを言い出すと思っていたよ。」

巻き毛は本気で怒り始めていた。瞳が輝き、巻き毛が逆立った。こいつがおれを怒らせるのは簡単だが、おれがこいつを怒らせるのは難しい。おれはこいつの怒った顔が好きだ。おれをたらしこもうと意味ありげに見つめる瞳や、いろいろと癪にに触る流し目よりもずっと好きだ。露助がおれをナチス呼ばわりした時に、巻き毛が間髪入れずに食らわせた平手をおれは忘れない。引き締めた唇の上で、瞳がきらきらと輝いていた。おれのアポロン。

おれは素早く動いてエロイカを制圧した。おれのような訓練を受けた者には、たやすいことだった。おれの体の下で、巻き毛は目をぱちくりさせておれを見上げた。彫りの深い顔にかかる金髪をゆっくりと払いのけて、おれは巻き毛に口付けた。巻き毛はうっとりと唇を開いた。おれは舌を差し入れた。


夜が始まった。




0 件のコメント:

コメントを投稿