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作者より: この物語はmosellegreen(Kadorienne)の気前のいい承諾なしには成り立ちませんでした。彼女が提供してくれた少佐の悪だくみに関するいくつかのプロットのおかげで、この可愛らしいセックスとドラッグとバイオレンスのお話ができあがったのです。
「いや、用途をお教えするわけにはいきませんな、ドクター。」少佐は鋭く答えた。「機密です。」
「しかし少佐、薬品の手配には理由が必要です。」医師は辛抱強く答えた。「それにこれはあまり普通ではない薬ですし。」
(ここへ来てそれを要求するのがおれにとって簡単なことだったっと思うなよ。) クラウスは密かに考えながら、目の前の男をじろりとにらみつけた。助かったことに、物慣れた脅迫はこの医師にはあっさり効いたようだった。医師は彼の要求を呑み、処方箋になにやら書きなぐった。
「これをつまり、どこか別の国の疑わしい諜報員にお使いになる、ということなんでしょうね?」医師は紙を差し出しながら尋ねた。
少佐は目を細めてその紙を受け取った。そして何も答えないままに体をくるりと翻し、大股で診察室を出て行った。
(くそったれ。なんという屈辱だ。)薬剤師の猜疑心に満ちた横目をじっと我慢しながら、彼は処方箋を取り上げて考えた。彼はNATO本部に駆け込み、階段を二段飛ばしで五階まで登った。これもすべて計略のためだ。これさえうまくいけば、あの癪に障るエロイカを永遠に追い払えると言うものだ。
あとはヤツを引っ掛けるだけだ。
少佐はゆっくりと彼の計画を実行に移した。彼は無造作なふりをして部下Gに声をかけた。「エロイカは遅れとるのか?」 彼は。エロイカへの言及が直ちにGの注意を引くと知っていた。
「何のことですか、少佐。」Gは答えた。あまりびくびくした口調にならないように気をつけていた。
少佐は馬鹿にしたように手を振った。「抜け道を通り抜けられんで立ち往生しとるんじゃないのか?自分で分かってないんだろうな、あれは。あの変態は、自分が太ったと認めるには気位が高すぎるんだろうよ。」 彼はそういい捨てると、素早くその場を去った。驚愕の表情を浮かべた部下をその場に残したまま。
これは噂を蒔くために必要な作業に過ぎなかった。彼は自分が伯爵に関する何かを言えば、周囲はそれを深刻に受け止めて考えだすということが分かっていた。
第一段階はこれで終了だった。
* * *
少佐が「うっかりと」漏らした一言から数週間後、エロイカはNATOの依頼を受け、新たな契約を結んだ。今回は比較的単純な任務だった。どうやら自分の計略がうまく運んでいるようだったので、クラウスはエロイカが周囲をちょろちょろするのを黙認していた。伯爵は鏡の前で自分の立ち姿を確認するのに、いつになく時間をかけていた。
こういった任務の場合、伯爵は少佐が任務の基地にしているのと同じホテルのスイートルームに滞在するのが普通だった。任務は遅滞なく終了し、少佐はすべての書類をかばんにまとめて、ボンへの帰途につこうとした。部屋の向こう側で、伯爵は床まで届く高さの鏡の前に立ち、注意深く自分の体を確認していた。まっすぐな下腹部をとんとん叩き、不満そうな顔をした。それから指をぴっちりしたボトムの腰に滑らせ、同じくらいぴっちりした尻を撫でた。まるで一インチの間違いも許せないとでも言うように。
それを見た少佐は、小さな笑いを堪え切れなかった。伯爵が鏡の中の自分を見つめる時間をたっぷり数分間は与えてやった後、鋭く声をかけた。「いつもそうやっとるんだろうな、ん?」
エロイカは驚いた顔で少佐を見た。実のところ、そこに少佐がいるなどということは忘れていた。(ああっ、私ときたら、見栄えといっしょにセックスアピールまで失っちゃったんだろうか?)
「何をしてるって?」彼は純粋な驚きとともに尋ねた。
クラウスは非難めいた表情を浮かべたままだった。「何もしとらんような振りはやめろ、エロイカ。」彼はそう言いながら部屋を横切った。「おまえに興味なんぞない。」彼は追い払うように手を振った。「めかしこむのはどこかよそでやれ。」 彼は小さな箱を取り上げて、"ついうっかりと"中身を床にぶちまけた。
「いや、用途をお教えするわけにはいきませんな、ドクター。」少佐は鋭く答えた。「機密です。」
「しかし少佐、薬品の手配には理由が必要です。」医師は辛抱強く答えた。「それにこれはあまり普通ではない薬ですし。」
(ここへ来てそれを要求するのがおれにとって簡単なことだったっと思うなよ。) クラウスは密かに考えながら、目の前の男をじろりとにらみつけた。助かったことに、物慣れた脅迫はこの医師にはあっさり効いたようだった。医師は彼の要求を呑み、処方箋になにやら書きなぐった。
「これをつまり、どこか別の国の疑わしい諜報員にお使いになる、ということなんでしょうね?」医師は紙を差し出しながら尋ねた。
少佐は目を細めてその紙を受け取った。そして何も答えないままに体をくるりと翻し、大股で診察室を出て行った。
(くそったれ。なんという屈辱だ。)薬剤師の猜疑心に満ちた横目をじっと我慢しながら、彼は処方箋を取り上げて考えた。彼はNATO本部に駆け込み、階段を二段飛ばしで五階まで登った。これもすべて計略のためだ。これさえうまくいけば、あの癪に障るエロイカを永遠に追い払えると言うものだ。
あとはヤツを引っ掛けるだけだ。
少佐はゆっくりと彼の計画を実行に移した。彼は無造作なふりをして部下Gに声をかけた。「エロイカは遅れとるのか?」 彼は。エロイカへの言及が直ちにGの注意を引くと知っていた。
「何のことですか、少佐。」Gは答えた。あまりびくびくした口調にならないように気をつけていた。
少佐は馬鹿にしたように手を振った。「抜け道を通り抜けられんで立ち往生しとるんじゃないのか?自分で分かってないんだろうな、あれは。あの変態は、自分が太ったと認めるには気位が高すぎるんだろうよ。」 彼はそういい捨てると、素早くその場を去った。驚愕の表情を浮かべた部下をその場に残したまま。
これは噂を蒔くために必要な作業に過ぎなかった。彼は自分が伯爵に関する何かを言えば、周囲はそれを深刻に受け止めて考えだすということが分かっていた。
第一段階はこれで終了だった。
* * *
少佐が「うっかりと」漏らした一言から数週間後、エロイカはNATOの依頼を受け、新たな契約を結んだ。今回は比較的単純な任務だった。どうやら自分の計略がうまく運んでいるようだったので、クラウスはエロイカが周囲をちょろちょろするのを黙認していた。伯爵は鏡の前で自分の立ち姿を確認するのに、いつになく時間をかけていた。
こういった任務の場合、伯爵は少佐が任務の基地にしているのと同じホテルのスイートルームに滞在するのが普通だった。任務は遅滞なく終了し、少佐はすべての書類をかばんにまとめて、ボンへの帰途につこうとした。部屋の向こう側で、伯爵は床まで届く高さの鏡の前に立ち、注意深く自分の体を確認していた。まっすぐな下腹部をとんとん叩き、不満そうな顔をした。それから指をぴっちりしたボトムの腰に滑らせ、同じくらいぴっちりした尻を撫でた。まるで一インチの間違いも許せないとでも言うように。
それを見た少佐は、小さな笑いを堪え切れなかった。伯爵が鏡の中の自分を見つめる時間をたっぷり数分間は与えてやった後、鋭く声をかけた。「いつもそうやっとるんだろうな、ん?」
エロイカは驚いた顔で少佐を見た。実のところ、そこに少佐がいるなどということは忘れていた。(ああっ、私ときたら、見栄えといっしょにセックスアピールまで失っちゃったんだろうか?)
「何をしてるって?」彼は純粋な驚きとともに尋ねた。
クラウスは非難めいた表情を浮かべたままだった。「何もしとらんような振りはやめろ、エロイカ。」彼はそう言いながら部屋を横切った。「おまえに興味なんぞない。」彼は追い払うように手を振った。「めかしこむのはどこかよそでやれ。」 彼は小さな箱を取り上げて、"ついうっかりと"中身を床にぶちまけた。
「くそっ!」
エロイカは目を見開いた。箱の中から、なにやら薬のアンプルと皮下注射用の注射器がいくつも床に散らばった。「少佐、これって何なんだい?任務のときに私に言ってなかったよね?」彼は楽しげに近寄ってきた。
クラウスは床に膝を付いて、散らばった中身を箱に戻しているところだった。彼はいらいらしたように顔をあげた。「実験中の薬剤だ、馬鹿者。」彼はうなり声を上げて言った。「部長にくれてやるつもりだ。あのデブにはさぞかし役に立つだろうよ。」
エロイカの眉が上がり、いっしょに膝を付いて散らばった薬剤のパッケージを拾い始めた。「部長を何かの中毒にするつもりなのかい?それってやりすぎじゃないのかな・・・」
クラウスは深いため息をついて床に座り込んだ。「おまえ、本当に陰湿なヤツだな。え?」彼はエロイカから薬をひったくった。「これはただの、えーと、appetite suppressant(食欲抑制剤)だ。おまえならそういうのがあるのは知っとるだろうが。一回打てばほぼ一ヶ月の効果だ。」彼はそう言って素早く下を向いた。伯爵が目を大きく見開いたのを見逃さなかった。
「それって・・・」
「馬鹿馬鹿しい薬だ、そうだな。」少佐は軽蔑したようにそう言うと、周りを見るふりをした。「だが体重を気にする連中にはたいした価値があるらしい。そういう業界での商品価値もな。大流行間違いなしらしいぞ。」彼はアンプルを箱に戻しながらそう言った。「これは製薬会社から盗まれて、ブラックマーケットに出ていたサンプルだ。」彼は後ろを向いて、家具の下に転がっていった分がないかどうか確かめた。彼の視界の隅で、伯爵が箱の中にある一番上のアンプルをかすめとっていくのが見えた。
「じゃあ、私はこの薬を盗むために雇われたってわけ?」
「『盗まれた薬剤の処方を盗み返すため』だ。」少佐は冷たく説明しつつ、椅子の下からアンプルを拾い上げた。それは事前にそこに転がしておいたものだった。「これで全部だな。」そう言いながら立ち上がった。「さあ、おれには仕事がある。」彼は伯爵の目がきらっと輝いたのを見逃さなかった。(おれが気付いとらんと思っとるな、この馬鹿者めが。)
エロイカは、少佐が今箱に入れたばかりのアンプルを手にとって、透かし見た。「少ししか入ってないみたいだけどね。」そう指摘した。
「それで三か月分だ。」少佐は鋭くそう言い、泥棒の手からアンプルを奪い返すと、箱に戻した。「おまえには無用だろうが。」彼はさっさと箱の蓋をしめ、書類を載せたテーブルへ向かった。「さあ、いますぐ出て行って誰か他のやつに付きまとって来い。」彼はそううなり声を上げると、椅子に座り込んだ。「おれには仕事がある。」
エロイカは顔にかかる髪をさっとかき払った。「そりゃよかった。」彼は大げさにため息をついた。「じゃあ私は・・・」彼は途中で言葉をとめた。空腹を覚えたからだった。鏡へさっと目をやり、不満げな顔をした。
「退屈ならさっさと出て行け。」少佐は命じた。顔えを上げさえしなかった。
「私の部下たちの様子でも見てくるよ。」エロイカはそう言って、ドアの方へ歩き始めた。部屋を去る前に立ち止まり、もう一度鏡を見ることを忘れなかった。
ドアの閉まる音を聞いてクラウスは顔をあげ、頬杖を付いて悪魔のような笑いを浮かべた。煙草に火をつけ、椅子の背もたれに体を預け、にやにや笑い始めた。伯爵のやつ、えさに食いつきやがった。救いようのない馬鹿だぜ。第二段階も遅滞なく終了だ。第三段階に取り掛かる前にやることは、待つことだけだ。
* * *
エロイカは意気揚々と自分のスイートに戻った。少佐をうまく騙しおおせることが出来るのは、そうめったにはなかった。彼は、たったいま少佐の鼻先から掠めてきたばかりの、手の中のアンプルを見下ろした。Experimental appetite suppressant(試験中の食欲抑制剤)、だって?だとしたら、これはあの恐ろしい噂を解決してくれるかもしれないじゃないか。私が・・・その・・・太ったとか、そういう噂。伯爵はそれを思うだけで震え上がった。太った?私が?
「はくしゃくぅ~~~!」黒板を爪で引っかくような声がした。
「ジェイムズ君、任務は終了したよ。」エロイカはため息をついた。「あと少ししたら、ボンに戻らなきゃね。」
伯爵の目の輝きを見た瞬間、ジェームズは今から上げる予定だった抗議の叫び声をぴたりと止めた。「何か盗みましたね、伯爵!」彼はうっとりと声を上げた。「あなたが僕をがっかりさせるはずがないと思ってました!」
「ジェイムス君、今日盗んだものは君が暴利をむさぼって売りに出せるものじゃないんだよ。」伯爵は冷静に返事した。「私が自分で使うものなんだ。」
「はくしゃくぅ~~~!」
エロイカは彼を尖った視線で見つけた。「たまには自分用のものを盗んだっていいだろう。ちがうかい、ジェームズ君?」彼はきっぱりと尋ねた。
ややおかんむりな様子の伯爵に、ジェイムズはたじたじとなった。
「お疲れでしょう、伯爵。」ジェイムズが騒ぎ出す前に話をやめさせようと、ボーナムが口を挟んだ。
エロイカは彼におなじみの笑顔を向けて、長い金髪をひと房とりあげて指でもてあそび始めた。
「そうだね。言われて見れはその通り、少し疲れたかな。」彼はため息をついた。「気付いてくれてありがとう、ボーナム君。」彼はそう付け加えて、ジェイムズをにらみつけた。彼はベッドルームへ向かった。「少し休むことにするよ。少佐が怒鳴り声を上げて騒ぎ始めたら教えておくれ。ここを撤収する時間だ。」
「了解しました、伯爵。」ボーナムはにっこり笑った。
エロイカは目を見開いた。箱の中から、なにやら薬のアンプルと皮下注射用の注射器がいくつも床に散らばった。「少佐、これって何なんだい?任務のときに私に言ってなかったよね?」彼は楽しげに近寄ってきた。
クラウスは床に膝を付いて、散らばった中身を箱に戻しているところだった。彼はいらいらしたように顔をあげた。「実験中の薬剤だ、馬鹿者。」彼はうなり声を上げて言った。「部長にくれてやるつもりだ。あのデブにはさぞかし役に立つだろうよ。」
エロイカの眉が上がり、いっしょに膝を付いて散らばった薬剤のパッケージを拾い始めた。「部長を何かの中毒にするつもりなのかい?それってやりすぎじゃないのかな・・・」
クラウスは深いため息をついて床に座り込んだ。「おまえ、本当に陰湿なヤツだな。え?」彼はエロイカから薬をひったくった。「これはただの、えーと、appetite suppressant(食欲抑制剤)だ。おまえならそういうのがあるのは知っとるだろうが。一回打てばほぼ一ヶ月の効果だ。」彼はそう言って素早く下を向いた。伯爵が目を大きく見開いたのを見逃さなかった。
「それって・・・」
「馬鹿馬鹿しい薬だ、そうだな。」少佐は軽蔑したようにそう言うと、周りを見るふりをした。「だが体重を気にする連中にはたいした価値があるらしい。そういう業界での商品価値もな。大流行間違いなしらしいぞ。」彼はアンプルを箱に戻しながらそう言った。「これは製薬会社から盗まれて、ブラックマーケットに出ていたサンプルだ。」彼は後ろを向いて、家具の下に転がっていった分がないかどうか確かめた。彼の視界の隅で、伯爵が箱の中にある一番上のアンプルをかすめとっていくのが見えた。
「じゃあ、私はこの薬を盗むために雇われたってわけ?」
「『盗まれた薬剤の処方を盗み返すため』だ。」少佐は冷たく説明しつつ、椅子の下からアンプルを拾い上げた。それは事前にそこに転がしておいたものだった。「これで全部だな。」そう言いながら立ち上がった。「さあ、おれには仕事がある。」彼は伯爵の目がきらっと輝いたのを見逃さなかった。(おれが気付いとらんと思っとるな、この馬鹿者めが。)
エロイカは、少佐が今箱に入れたばかりのアンプルを手にとって、透かし見た。「少ししか入ってないみたいだけどね。」そう指摘した。
「それで三か月分だ。」少佐は鋭くそう言い、泥棒の手からアンプルを奪い返すと、箱に戻した。「おまえには無用だろうが。」彼はさっさと箱の蓋をしめ、書類を載せたテーブルへ向かった。「さあ、いますぐ出て行って誰か他のやつに付きまとって来い。」彼はそううなり声を上げると、椅子に座り込んだ。「おれには仕事がある。」
エロイカは顔にかかる髪をさっとかき払った。「そりゃよかった。」彼は大げさにため息をついた。「じゃあ私は・・・」彼は途中で言葉をとめた。空腹を覚えたからだった。鏡へさっと目をやり、不満げな顔をした。
「退屈ならさっさと出て行け。」少佐は命じた。顔えを上げさえしなかった。
「私の部下たちの様子でも見てくるよ。」エロイカはそう言って、ドアの方へ歩き始めた。部屋を去る前に立ち止まり、もう一度鏡を見ることを忘れなかった。
ドアの閉まる音を聞いてクラウスは顔をあげ、頬杖を付いて悪魔のような笑いを浮かべた。煙草に火をつけ、椅子の背もたれに体を預け、にやにや笑い始めた。伯爵のやつ、えさに食いつきやがった。救いようのない馬鹿だぜ。第二段階も遅滞なく終了だ。第三段階に取り掛かる前にやることは、待つことだけだ。
* * *
エロイカは意気揚々と自分のスイートに戻った。少佐をうまく騙しおおせることが出来るのは、そうめったにはなかった。彼は、たったいま少佐の鼻先から掠めてきたばかりの、手の中のアンプルを見下ろした。Experimental appetite suppressant(試験中の食欲抑制剤)、だって?だとしたら、これはあの恐ろしい噂を解決してくれるかもしれないじゃないか。私が・・・その・・・太ったとか、そういう噂。伯爵はそれを思うだけで震え上がった。太った?私が?
「はくしゃくぅ~~~!」黒板を爪で引っかくような声がした。
「ジェイムズ君、任務は終了したよ。」エロイカはため息をついた。「あと少ししたら、ボンに戻らなきゃね。」
伯爵の目の輝きを見た瞬間、ジェームズは今から上げる予定だった抗議の叫び声をぴたりと止めた。「何か盗みましたね、伯爵!」彼はうっとりと声を上げた。「あなたが僕をがっかりさせるはずがないと思ってました!」
「ジェイムス君、今日盗んだものは君が暴利をむさぼって売りに出せるものじゃないんだよ。」伯爵は冷静に返事した。「私が自分で使うものなんだ。」
「はくしゃくぅ~~~!」
エロイカは彼を尖った視線で見つけた。「たまには自分用のものを盗んだっていいだろう。ちがうかい、ジェームズ君?」彼はきっぱりと尋ねた。
ややおかんむりな様子の伯爵に、ジェイムズはたじたじとなった。
「お疲れでしょう、伯爵。」ジェイムズが騒ぎ出す前に話をやめさせようと、ボーナムが口を挟んだ。
エロイカは彼におなじみの笑顔を向けて、長い金髪をひと房とりあげて指でもてあそび始めた。
「そうだね。言われて見れはその通り、少し疲れたかな。」彼はため息をついた。「気付いてくれてありがとう、ボーナム君。」彼はそう付け加えて、ジェイムズをにらみつけた。彼はベッドルームへ向かった。「少し休むことにするよ。少佐が怒鳴り声を上げて騒ぎ始めたら教えておくれ。ここを撤収する時間だ。」
「了解しました、伯爵。」ボーナムはにっこり笑った。
続く・・・
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