『警告:伯爵女体化注意・表篇(3)』の続きです。今回は一文を、私が訳したとある英語フィクから盗用しています。わかったかたはくすりとお笑いください。
また、最後のシーンは原作者村雨公主の原案によるものです。全くひどい人ですね~、村雨さん。
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僕が運転した。上司は助手席に座った。伯爵は後部座席に持ち込んだ大きな羽根枕に体をうずめた。
「・・・ルイは女相手でも手練れだね。」
「べつに訊いとらん。」
「きみたちが下にいるって聞いたら、余計に感じちゃったんだ。」
「口を閉じろ。」
5時間弱のドライブを、ずっとこんな会話を聞いて過ごすかのかと思うとげんなりした。今日はあきらかに上司の劣勢だった。
「迎えになんかこなくても、気が済んだら自分で帰るつもりだったんだよ。」
「その体であの車を運転して400キロか。」
「どうってことないさ。いつもやってることじゃないか。」
「もうこれまでの体じゃないだろう。」
「どういう意味だい?私は私だよ。違いを気にしてるのはきみだけじゃないのかな。」
「おまえは何も変わっとらん。相変わらず生意気で脳天気な風船野郎で、おまけに見境無しだ。」
「野郎って呼ばないでくれるかな。もうそうじゃないんだよ。そこが気になって気になって仕方がないくせにね。」
「黙れ。」
「黙らないね。私にのやることに口を出すのはやめて欲しいな。迎えに来いなんて頼んだ覚えはないよ。」
「おまえが黙って逃げ出すからだ。そうでもなければこんなとこまで来とらん。」
「なにやってるか分かってるんだから遠慮すべきだろ?わざわざ覗きに来たとはね。きみって最低だ。」
あーもうっ。僕はやぶれかぶれになって怒鳴った。
「運転の気が散るのでやめてください!」
車内はしんとなった。これで運転に集中できる、そう思ったら、伯爵が余程虫の居所が悪いのか、もっとたちの悪い絡み方をしてきた。
「ねえ、クラウス・・・後ろに来てよ・・・」
総毛だってしまうほど艶っぽい、まぎれもない女性の声だった。
「さっき抱き上げたくれたとき、すごく緊張してただろ。きみの心臓が鳴ってた。素敵な気分だった。もっと抱かれてたかったな。」
助手席の上司が青筋を立てて怒りを堪えているだろうと思った。横目で見た。違っていた。真っ青になっていた。
「・・・」
「きみも気付いただろ。ほら、体のいろんなところが、ぜんぜん違う形に変わってしまったんだ。すごく変な感じなんだよ。おいでよ、見せてあげるから。」
「・・・」
「女の体ってこういうのが普通なのかな?私は全然知らないんだ。きみなら知ってるだろ。教えてくれよ。」
「・・・」
「黙ってないでこっちへおいでよ。・・・我慢できないなら触ってくれてもいいんだよ。」
少佐、怒鳴りつけてでもいいからやめさせてください。僕、運転に集中できません。助けを求めたくなった瞬間、助手席の上司が口を開いた。
「A、車を停めてくれ。おれは降りる。」
「ふふ、降りて後ろに来てくれるんだね。」
「・・・やめろ。頼むから。」
心底つらそうな声だった。少佐は車を降りた。ふらついているのがはっきり見て取れた。ドアが力なく閉まった。僕は車を発進させた。バックミラーのなかで遠ざかる少佐を心配しつつ、伯爵を見てぎくりとした。少佐と同じくらい蒼白だった。
しばらくは黙って車を走らせた。何をどう切り出してよいやら分からなかったからだ。だが意を決して話しかけた。
「あの・・・、グローリア伯爵?」
「なんだい、Aくん?」
声は女性のものに変わっていたが、僕に対してはいつもと同じ伯爵だった。
「あまり、少佐に辛く当たってあげないでください。」
「ごめんよ。きみにはみっともないところを見せたね。」
「少佐があんなになったのは初めてです。僕たちみんな困ってます。」
「私も女になるのは初めてなんだ。いつもどおりにいかなくて困ってるんだよ。」
伯爵は力なく自嘲した。
「いつも通りからかったら、あんなになるなんてね。」
「少佐は基本的に女性には紳士です。ですから今のあなたに対しても、あまりひどいことは出来ません。」
「私は私なのに。」
伯爵はため息をついた。僕もため息をつきたくなった。僕の上司はなんでこんなにややこしい相手にどうしようもなく心を奪われちゃったんだろうなあ。最初から僕の妻みたいな、ごく普通の清楚で穏やかな美人を選んでおけばいいのに。
「あのフランス人とは、もともと付き合ってたんですか?」
「付き合ってた?・・・寝ると付き合うとは全然違うんだけどね。そう、以前から時々寝てたね。」
「あなたを殺そうとした人じゃないですか。どうしてそんな。」
「自分の心に生まれた恐怖を克服するためだよ。克服し、手なずける必要があったのさ。内心の恐怖を飼いならせないようでは、私の裏の顔は務まらない。」
「・・・あなたは、やはり男性ですね。」
「そういう言い方は女性に失礼かもしれないよ。同じように強靭な女性はこの世にいくらもいるさ。」
「でも克服の方法が男性です。女性だと、多分そういうわけには行かない。」
「そうかな?・・・そうなのかもね。きみは少佐から、私の何かを訊くように指示されているのかな?」
「いえ、そういうわけでは・・・。」
あとは沈黙になった。僕は黙って運転に専念した。
研究所に到着して車を降りると伯爵はすでに控えめな雰囲気の美女に戻っていて、コテージまで送った僕に礼を言うと、静かに扉を閉めた。ボンへ電話すると、どういう方法を使ったのか少佐はすでにオフィスに戻っていた。僕は研究医と少し話をしてから帰ることにした。
金髪の若い研究医は神経質そうに眼鏡に手をやり、僕に告げた。
「被験者をお連れ頂いたのはありがたいのですが、もしかするとそのままにしておいたほうが良かったのかもしれません。」
「どういうことですか。」
「どんな哺乳類もそうですが、ストレスのある環境下では妊娠しにくいんですよ。」
あまりにもあからさまな物言いに、僕は少し赤面した。
「被験者の健康状態にすでに問題はありません。排卵も始まりそうです。日々のデータを取りたいのはやまやまなのですが、目的のためにはまず妊娠を成功させることが必要で、そのためにはリラックスした精神状態をとりもどすことが好ましい。機密上の問題から被験者の個人情報については私たちにも非公開ですが、ドイツの方ではありませんよね?イギリス人?彼のもとの職業は何だったんでしょう。もしくは趣味の運動などで、ここで再開できるものはありませんか?」
個人情報か。イギリス人。身分は世襲貴族。職業は泥棒。そんなこと言えやしない。
だが感染の経緯から、伯爵がNATO特殊任務の外部契約者であることは、研究医たちも知っていた。NATOが伯爵に次の協力を要請した場合、研究医たちは許可を出すのだろうか。僕は注意深くそのこと口に出さず、次回訪問のアポだけ取って研究所を後にした。
日々は過ぎた。少佐は一見平静に見えた。ただ任務に手落ちがないだけで、その実なにもかも上の空なのだった。
僕は研究所を訪問し続けた。Qの姿を見かけた日には、伯爵のコテージには足を向けなかった。研究医たちは首を横に振り続け、僕はそのたびに上司に簡単な報告をした。なぜいつまでもこんな報告を必要とし続けるのか、僕にはわかっていた。伯爵の現状はNATOが依頼した任務が原因であって、上司はそのことに責任を感じていた。そして責任以上の感情を制御できなくて、大の男が道に迷った子供のように途方にくれているのだった。
僕は時々どうしようもなく悩みこんでは、妻に優しい目でみつめられた。任務でのことは彼女には話せない。でも妻は、すべてを飲み込んでいるような顔で、黙ってぼくに微笑んでくれた。愛する人がそばにいいると言うのはどれほど恵まれたことなのだろうと、そのたびに思わざるを得なかった。僕は妻に何ができるだろうか?妻を愛すること、精一杯の幸せを分かち合うこと。それが僕に出せる答えだった。だがもし妻が僕のそばにいないことを選んだら、僕はそのとき何をしてやれるだろう。
事態をあまりよく理解していない部長が伯爵への依頼を持ち出してきたのは、そういう時期だった。少佐は当然拒絶したが、任務の性質上それが最も妥当な方法だった。研究医へは部長から打診した。快諾が出たらしい。伯爵をもとのに生活の戻した方がいい結果が出るのではないかという意見だった。もちろんNATOが所在を把握する。そして定期的に研究所でデータをとる。伯爵もまた施設外での生活を希望しており、それゆえNATOの依頼を受けた。但し、これが最後の任務だと言い置いて。
そう。これがエロイカの最後のミッションだった。NATOボン支部の外部契約者であり、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐の長年の相棒である怪盗エロイカ。思えば奇妙な組み合わせだった。無骨な少佐が優雅な伯爵を袖にし続けているのはかくれもない事実であったにもかかわらず、一旦任務とあれば双方ともが互いを力の限り保護しようとし、また一方を傷つける者がいれば他方は躊躇ない報復を欠かさなかった。僕たちは皆、その関係がいつまでも続くものと思い込んでいた。失われて初めて分かったのは、その関係がいかに微妙で危ういバランスの上に成り立っていたのかということだった。
任務の前日、エロイカは現れた。傍らにQを伴って。
少佐は何も言わなかった。
Bが影で文句を言った。
「協力中の任務だとはいえ、よその所属の人間にこちらの地盤をおとなしく探らせてやるいわれはないよな。そう思わないか?」
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僕が運転した。上司は助手席に座った。伯爵は後部座席に持ち込んだ大きな羽根枕に体をうずめた。
「・・・ルイは女相手でも手練れだね。」
「べつに訊いとらん。」
「きみたちが下にいるって聞いたら、余計に感じちゃったんだ。」
「口を閉じろ。」
5時間弱のドライブを、ずっとこんな会話を聞いて過ごすかのかと思うとげんなりした。今日はあきらかに上司の劣勢だった。
「迎えになんかこなくても、気が済んだら自分で帰るつもりだったんだよ。」
「その体であの車を運転して400キロか。」
「どうってことないさ。いつもやってることじゃないか。」
「もうこれまでの体じゃないだろう。」
「どういう意味だい?私は私だよ。違いを気にしてるのはきみだけじゃないのかな。」
「おまえは何も変わっとらん。相変わらず生意気で脳天気な風船野郎で、おまけに見境無しだ。」
「野郎って呼ばないでくれるかな。もうそうじゃないんだよ。そこが気になって気になって仕方がないくせにね。」
「黙れ。」
「黙らないね。私にのやることに口を出すのはやめて欲しいな。迎えに来いなんて頼んだ覚えはないよ。」
「おまえが黙って逃げ出すからだ。そうでもなければこんなとこまで来とらん。」
「なにやってるか分かってるんだから遠慮すべきだろ?わざわざ覗きに来たとはね。きみって最低だ。」
あーもうっ。僕はやぶれかぶれになって怒鳴った。
「運転の気が散るのでやめてください!」
車内はしんとなった。これで運転に集中できる、そう思ったら、伯爵が余程虫の居所が悪いのか、もっとたちの悪い絡み方をしてきた。
「ねえ、クラウス・・・後ろに来てよ・・・」
総毛だってしまうほど艶っぽい、まぎれもない女性の声だった。
「さっき抱き上げたくれたとき、すごく緊張してただろ。きみの心臓が鳴ってた。素敵な気分だった。もっと抱かれてたかったな。」
助手席の上司が青筋を立てて怒りを堪えているだろうと思った。横目で見た。違っていた。真っ青になっていた。
「・・・」
「きみも気付いただろ。ほら、体のいろんなところが、ぜんぜん違う形に変わってしまったんだ。すごく変な感じなんだよ。おいでよ、見せてあげるから。」
「・・・」
「女の体ってこういうのが普通なのかな?私は全然知らないんだ。きみなら知ってるだろ。教えてくれよ。」
「・・・」
「黙ってないでこっちへおいでよ。・・・我慢できないなら触ってくれてもいいんだよ。」
少佐、怒鳴りつけてでもいいからやめさせてください。僕、運転に集中できません。助けを求めたくなった瞬間、助手席の上司が口を開いた。
「A、車を停めてくれ。おれは降りる。」
「ふふ、降りて後ろに来てくれるんだね。」
「・・・やめろ。頼むから。」
心底つらそうな声だった。少佐は車を降りた。ふらついているのがはっきり見て取れた。ドアが力なく閉まった。僕は車を発進させた。バックミラーのなかで遠ざかる少佐を心配しつつ、伯爵を見てぎくりとした。少佐と同じくらい蒼白だった。
しばらくは黙って車を走らせた。何をどう切り出してよいやら分からなかったからだ。だが意を決して話しかけた。
「あの・・・、グローリア伯爵?」
「なんだい、Aくん?」
声は女性のものに変わっていたが、僕に対してはいつもと同じ伯爵だった。
「あまり、少佐に辛く当たってあげないでください。」
「ごめんよ。きみにはみっともないところを見せたね。」
「少佐があんなになったのは初めてです。僕たちみんな困ってます。」
「私も女になるのは初めてなんだ。いつもどおりにいかなくて困ってるんだよ。」
伯爵は力なく自嘲した。
「いつも通りからかったら、あんなになるなんてね。」
「少佐は基本的に女性には紳士です。ですから今のあなたに対しても、あまりひどいことは出来ません。」
「私は私なのに。」
伯爵はため息をついた。僕もため息をつきたくなった。僕の上司はなんでこんなにややこしい相手にどうしようもなく心を奪われちゃったんだろうなあ。最初から僕の妻みたいな、ごく普通の清楚で穏やかな美人を選んでおけばいいのに。
「あのフランス人とは、もともと付き合ってたんですか?」
「付き合ってた?・・・寝ると付き合うとは全然違うんだけどね。そう、以前から時々寝てたね。」
「あなたを殺そうとした人じゃないですか。どうしてそんな。」
「自分の心に生まれた恐怖を克服するためだよ。克服し、手なずける必要があったのさ。内心の恐怖を飼いならせないようでは、私の裏の顔は務まらない。」
「・・・あなたは、やはり男性ですね。」
「そういう言い方は女性に失礼かもしれないよ。同じように強靭な女性はこの世にいくらもいるさ。」
「でも克服の方法が男性です。女性だと、多分そういうわけには行かない。」
「そうかな?・・・そうなのかもね。きみは少佐から、私の何かを訊くように指示されているのかな?」
「いえ、そういうわけでは・・・。」
あとは沈黙になった。僕は黙って運転に専念した。
研究所に到着して車を降りると伯爵はすでに控えめな雰囲気の美女に戻っていて、コテージまで送った僕に礼を言うと、静かに扉を閉めた。ボンへ電話すると、どういう方法を使ったのか少佐はすでにオフィスに戻っていた。僕は研究医と少し話をしてから帰ることにした。
金髪の若い研究医は神経質そうに眼鏡に手をやり、僕に告げた。
「被験者をお連れ頂いたのはありがたいのですが、もしかするとそのままにしておいたほうが良かったのかもしれません。」
「どういうことですか。」
「どんな哺乳類もそうですが、ストレスのある環境下では妊娠しにくいんですよ。」
あまりにもあからさまな物言いに、僕は少し赤面した。
「被験者の健康状態にすでに問題はありません。排卵も始まりそうです。日々のデータを取りたいのはやまやまなのですが、目的のためにはまず妊娠を成功させることが必要で、そのためにはリラックスした精神状態をとりもどすことが好ましい。機密上の問題から被験者の個人情報については私たちにも非公開ですが、ドイツの方ではありませんよね?イギリス人?彼のもとの職業は何だったんでしょう。もしくは趣味の運動などで、ここで再開できるものはありませんか?」
個人情報か。イギリス人。身分は世襲貴族。職業は泥棒。そんなこと言えやしない。
だが感染の経緯から、伯爵がNATO特殊任務の外部契約者であることは、研究医たちも知っていた。NATOが伯爵に次の協力を要請した場合、研究医たちは許可を出すのだろうか。僕は注意深くそのこと口に出さず、次回訪問のアポだけ取って研究所を後にした。
日々は過ぎた。少佐は一見平静に見えた。ただ任務に手落ちがないだけで、その実なにもかも上の空なのだった。
僕は研究所を訪問し続けた。Qの姿を見かけた日には、伯爵のコテージには足を向けなかった。研究医たちは首を横に振り続け、僕はそのたびに上司に簡単な報告をした。なぜいつまでもこんな報告を必要とし続けるのか、僕にはわかっていた。伯爵の現状はNATOが依頼した任務が原因であって、上司はそのことに責任を感じていた。そして責任以上の感情を制御できなくて、大の男が道に迷った子供のように途方にくれているのだった。
僕は時々どうしようもなく悩みこんでは、妻に優しい目でみつめられた。任務でのことは彼女には話せない。でも妻は、すべてを飲み込んでいるような顔で、黙ってぼくに微笑んでくれた。愛する人がそばにいいると言うのはどれほど恵まれたことなのだろうと、そのたびに思わざるを得なかった。僕は妻に何ができるだろうか?妻を愛すること、精一杯の幸せを分かち合うこと。それが僕に出せる答えだった。だがもし妻が僕のそばにいないことを選んだら、僕はそのとき何をしてやれるだろう。
事態をあまりよく理解していない部長が伯爵への依頼を持ち出してきたのは、そういう時期だった。少佐は当然拒絶したが、任務の性質上それが最も妥当な方法だった。研究医へは部長から打診した。快諾が出たらしい。伯爵をもとのに生活の戻した方がいい結果が出るのではないかという意見だった。もちろんNATOが所在を把握する。そして定期的に研究所でデータをとる。伯爵もまた施設外での生活を希望しており、それゆえNATOの依頼を受けた。但し、これが最後の任務だと言い置いて。
そう。これがエロイカの最後のミッションだった。NATOボン支部の外部契約者であり、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐の長年の相棒である怪盗エロイカ。思えば奇妙な組み合わせだった。無骨な少佐が優雅な伯爵を袖にし続けているのはかくれもない事実であったにもかかわらず、一旦任務とあれば双方ともが互いを力の限り保護しようとし、また一方を傷つける者がいれば他方は躊躇ない報復を欠かさなかった。僕たちは皆、その関係がいつまでも続くものと思い込んでいた。失われて初めて分かったのは、その関係がいかに微妙で危ういバランスの上に成り立っていたのかということだった。
任務の前日、エロイカは現れた。傍らにQを伴って。
少佐は何も言わなかった。
Bが影で文句を言った。
「協力中の任務だとはいえ、よその所属の人間にこちらの地盤をおとなしく探らせてやるいわれはないよな。そう思わないか?」
誰も伯爵には何もいえなかった。けれど、伯爵は少佐をにらみつけるようにして言った。
「妊娠するには時期があるんだよ。いまはその時期なのさ。Qとやってやってやりまくらなきゃ。」
伯爵はそう蓮っ葉に言って唇を舐めた。綺麗過ぎる女性が言うと、そんな下品なことでも壮絶なだけで下品に聞こえなかった。
「用があるときは遠慮なく呼んでくれたまえ。」
伯爵はそう言い捨てて部屋に戻った。いかなる任務でも、伯爵は常に最上級のスイートを要求していた。
伯爵はそう言い捨てて部屋に戻った。いかなる任務でも、伯爵は常に最上級のスイートを要求していた。
夜、僕たちは準備作業を始めていた。途中で困ったことがおこった。明日侵入予定の某所の情報を確認するのに、ボーナムが伯爵用に準備したとあるセキュリティデバイスが必要になったのだ。そのデバイスは一見すると小型のタブレット型デバイスなのだが、起動すると伯爵の持つ犯罪者のコネクションでしか利用できない特殊なデータにアクセスすることができた。伯爵は時折そのデータをNATOにも提供していた。
仕方なく、伯爵の部屋に電話をかけた。
「彼はシャワー中だ。スペアキーは持ってるるんだろう。構わないから入りたまえ。きみたちが探しているものは、手前の居間のテーブルの上に出しておく。私たちは奥の寝室にいるから気にしなくていい。」
電話を取ったのはQだった。Qは返事も聞かずに電話を切り、僕は困った顔で上司を見上げた。彼らの部屋に入るのは本当に嫌だった。明日まで待てないだろうか。
だが少佐は無表情のまま僕から鍵のカードを取り上げ、エレベーターへ向かった。僕は慌ててあとを追った。
部屋に入り、手前の居間を素早く探し回った。テーブルの上には何もなく、その他の場所にも見当たらなかった。
「きみの探しているものはその部屋にはないよ、エーベルバッハ少佐。」
薄く開いた寝室への扉の奥から、Qの声がした。
「ここにある。取りに来るがいい。」
少佐は何の表情も浮かべないままの顔で、黙って寝室のドアを開けた。伯爵を後ろから犯していたQが、躯をつなげたまま上半身をひねってこちらを見た。
「そう、この枕の下だ。」
指差したのは伯爵が顔をうずめた枕だった。
「顔をあげなさい。少佐が探しやすいように。」
ゆっくりと頭を持ち上げた伯爵の豊かな髪を掴んで、Qは伯爵の顔を無理やり少佐の方に向けた。目を閉じずに、少佐から視線だけを逸らせた伯爵の顔が見えた。少佐は無表情のまま近づき、枕の下に手を差し入れた。
「ああ、最初の時もそうだったが、エーベルバッハ少佐がいるときのきみの濡れかたといったら、半端じゃないな。」
少佐は黙って枕の下を探った。
「もっと締めてくれ。そう、そうだ、いい具合だ。・・・おや、自分で締めてるんじゃないのか。」
Qは少佐の顔を見てにやりと笑った。
「試していくかい?」
電話を取ったのはQだった。Qは返事も聞かずに電話を切り、僕は困った顔で上司を見上げた。彼らの部屋に入るのは本当に嫌だった。明日まで待てないだろうか。
だが少佐は無表情のまま僕から鍵のカードを取り上げ、エレベーターへ向かった。僕は慌ててあとを追った。
部屋に入り、手前の居間を素早く探し回った。テーブルの上には何もなく、その他の場所にも見当たらなかった。
「きみの探しているものはその部屋にはないよ、エーベルバッハ少佐。」
薄く開いた寝室への扉の奥から、Qの声がした。
「ここにある。取りに来るがいい。」
少佐は何の表情も浮かべないままの顔で、黙って寝室のドアを開けた。伯爵を後ろから犯していたQが、躯をつなげたまま上半身をひねってこちらを見た。
「そう、この枕の下だ。」
指差したのは伯爵が顔をうずめた枕だった。
「顔をあげなさい。少佐が探しやすいように。」
ゆっくりと頭を持ち上げた伯爵の豊かな髪を掴んで、Qは伯爵の顔を無理やり少佐の方に向けた。目を閉じずに、少佐から視線だけを逸らせた伯爵の顔が見えた。少佐は無表情のまま近づき、枕の下に手を差し入れた。
「ああ、最初の時もそうだったが、エーベルバッハ少佐がいるときのきみの濡れかたといったら、半端じゃないな。」
少佐は黙って枕の下を探った。
「もっと締めてくれ。そう、そうだ、いい具合だ。・・・おや、自分で締めてるんじゃないのか。」
Qは少佐の顔を見てにやりと笑った。
「試していくかい?」
言いながら腰を使った。伯爵の長い腿がびくびく震えていた。声を出さないように必死でこらえながら、多分、最後までいったにちがいなかった。
少佐の手が目的のものを探り当てた。無言のまま手を引き抜き、身体を翻し、寝室を離れた。後ろでQの高笑いが聞こえた。
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『警告:伯爵女体化注意・表篇(5)』に続く・・・
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