訳者メモ: Closet Case - a homosexual who pretends to be heterosexual
注: Closet Case, Stuck Door by Margaret Priceの続編です。
注: Closet Case, Stuck Door by Margaret Priceの続編です。
by The Reverand
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「彼女のあのすごい爪、見たかい?よかった!逃げおおせた!」
あの女は確かに恐竜だ、少佐も認めた。「あの女が修羅場を始めるつもりがなかったのは幸運だったな。そうなったら俺が相手せにゃならんとこだった。」彼はドアを開けようとした。「さあ、俺はここを出るぞ。おまえは…」
ほとんど真っ暗な闇の中で、伯爵はドアノブがガチャガチャ鳴るのを聞いた。「少佐…?」少佐はいまや本気交じりでドアノブを力任せにひねっていた。「うっ…」
少佐は呪い始めた。彼の情況のすべてを。「鍵がかかっとる!この間抜け野郎め!くそったれ!おまえもそのファスナーもあの恐竜女も、貴様らはみんなくそったれだ!あの女、鍵を掛けやがった!」
「ああ、少佐。」伯爵は言ったが、少佐には伯爵がその口元に自己満足の笑みを浮かべているのが見えなかった。「きみが体をくっつけているのがいったい何者かを忘れているようだね。クロゼットのドアなんて、まさに私の出番じゃないか。」
「下がれ、変態。後ろに隙間があるだろ!ドアを開け!今すぐだ!」
「いいけどね。きみは私を助けてくれたし。いつもだったらこんな有利な情況を無駄にしたりしないんだけど…。きみ、ほんとにそれでいいのかい?」
返答の変わりに、何かが擦れる怪しげな音と、44マグナムの安全装置をはずすカチリという音が答えだった。「いいよ、わかったよ。ちょっと待ってくれ。」
少佐には、伯爵が髪の中から何かを取り出そうとしているところしか見えなかった。やつの商売道具の何か。あの巻き毛は小物を隠すにはおあつらえむきだ。やつは小さめの火器ぐらいだったらあの癪にさわるたてがみの中に隠せそうだ。誰もそれに気づかないだろう。
伯 爵はドアノブを回すのに少し苦労しているようだった。なにしろ着込んでいるドレスが厄介なしろもので、たっぷりとしたひだと、どっしりした布とレースが幾 重にも重なっていた。 少佐は小突かれ、押され、少なくとも六回は伯爵と体がこすれあい、かなりイライラし始めた。彼は不承不承マグナムをしまい込んだ。
「少佐、あのね、」伯爵は嘆願した。「ほんとにすごく言いにくいんだけど…、えーと、できればあんまり動かないでいてくれないかな。そして私が近づいても撃たないって約束してくれ。えっと、あの、」伯爵は無理をしてつらそうに小さく笑った。「その…きみの、大砲。」
少佐は不審そうに眉をひそめた。それからやっと伯爵の言った意味に気が付いて怒りを爆発させた。「貴様ー-!」彼は怒鳴りつけたが、クロゼットの外のパー ティを考えて、怒声をささやき声に落とさざるを得なかった。「この変態が!くっつきたくないのはおまえだけだと思っとるのか!おまえの顔だって俺 の・・・、それにおまえと俺は・・・、このくそったれの(伏字)!だいたいなんでこんなとこにいると思ってるんだ!?」
伯爵にはくすっと笑わないだけの分別があった。伯爵は少佐がちょうど・・・にいることを意識するだろうことを知っていた。どちらにしろ、伯爵は狭いところにいる有利さを存分に利用しようとしていた。
「いいか。俺に触ろうとしたら撃つからな。それとさっさとドアを開けなかったらだ。」少佐は考えて付け足した。「それから俺の体の一部分を、もう一度そう表現したら、だ。」
伯爵の声に笑みが含まれていた。「わかったよ。」
泥棒はもう一度仕事に戻った。少佐は体が許す限りなるべく壁際に寄るように心がけた。金属と金属が擦れあう音が聞こえた。その音だけがいつまでも響いた。大泥棒エロイカの腕が鈍ったに違いなかった。
「ああ、少佐。」
「立ってから言え!」
「これって、鍵がかかってるんじゃない。鍵が壊れて、詰まってるんだ。」
少佐はこの気障ったらっしいやつが大嘘をついていないか、それとも間違っていないか確かめようと、本能的に前に出た。少佐はこの自分の大失態に気づかなかっ た-伯爵とぶつかり、ひざ立ちになっていた伯爵がバランスを崩すまで。伯爵は後ろに倒れそうになり、何かすがるものを求めて少佐の襟を摑んだ。彼らは倒れこんだ。一人は仰向けに、もう一人はうつ伏せで、ドレスの生地の豪勢なひだの上に。
「いいか。俺に触ろうとしたら撃つからな。それとさっさとドアを開けなかったらだ。」少佐は考えて付け足した。「それから俺の体の一部分を、もう一度そう表現したら、だ。」
伯爵の声に笑みが含まれていた。「わかったよ。」
泥棒はもう一度仕事に戻った。少佐は体が許す限りなるべく壁際に寄るように心がけた。金属と金属が擦れあう音が聞こえた。その音だけがいつまでも響いた。大泥棒エロイカの腕が鈍ったに違いなかった。
「ああ、少佐。」
「立ってから言え!」
「これって、鍵がかかってるんじゃない。鍵が壊れて、詰まってるんだ。」
少佐はこの気障ったらっしいやつが大嘘をついていないか、それとも間違っていないか確かめようと、本能的に前に出た。少佐はこの自分の大失態に気づかなかっ た-伯爵とぶつかり、ひざ立ちになっていた伯爵がバランスを崩すまで。伯爵は後ろに倒れそうになり、何かすがるものを求めて少佐の襟を摑んだ。彼らは倒れこんだ。一人は仰向けに、もう一人はうつ伏せで、ドレスの生地の豪勢なひだの上に。
伯爵が気を取り直す方が早かった。「やあ、少佐。これって素敵な体勢だよね。」
伯爵の広げた足の間に横たわり、 少佐は体が熱くなるのを感じた。その熱さは怒りのためというだけではなく…、だが、言葉だけは怒りの言葉だった。
"You and your fucking dress and your fucking locked door and your goddamned hair, and your zipper and fucking cannons and--"
… 伯爵の手が少佐の髪に伸び、唇が唇に当てられた。両脚がゆっくりときつく閉じられつつあった。少佐は伯爵に引き寄せられるのを感じた。異議を申し立て、阻 止しようとした瞬間、少佐は伯爵には機が熟したと判断できる明確な理由があるのが分かった。つまり自分のこの下腹部の疼きが、やつにははっきり知られてい る。
くそっ。
いつのまにか自分がキスを返しているのに気が付いた少佐は、口を開くために唇を離した。「全く、気に入らん奴だ。」 ・・・だが、口調には何の毒もこもっていなかった。 ドアの下からかすかに差し込む光の中で、少佐は笑みを浮かべてそう言ったのだった。
「少佐…、それってきみがいままで私に言った中でいちばん素敵な一言だよ。」彼は少佐を引き寄せてもう一度口づけた。
「ドアを破らにゃならん。」しばらくして、少佐は言った。「だがまあ、人がいるうちはいかんな。」
「もちろんだめだよ。」
伯爵は悪戯っぽく笑ったが、それはじらすようにうごめく下半身や、ゆっくりと少佐の脇をなで上げる太ももの半分もたちが悪くなかった。「まだ早いよ。」
少佐はうなり声を上げたが、その声は警告よりも敗北を意味していた。・・・なんとも幸せな敗北を。
「暇つぶしの方法を探さなきゃね…」… 伯爵は続けた。「だって、何時間も待たなきゃいけないし。」
「何時間か・・」それが、少佐が答えた最後の返答だった。彼の口がほかの事に忙しかったために。
ほ ぼ三時間半後に、二人はとうとう立ち上がった。双方の服をお互いにもうちょっとましに見えるように整えあいながら。伯爵は少佐のネクタイをまっすぐにして やり、それから暗闇の中で下の服を探してやった。少佐は伯爵が太ももにナイフを隠すのを手伝い、それからその他の泥棒道具を他の場所につけるのを手助けし た。それから、密かに笑みを漏らしつつ、ドレスのファスナーを上げてやった。恐竜女はもういないだろう。
「もう誰もいないようだよ。」伯爵はさも何事もなかったかのように気取って言った。
「よかろう。ドアを離れろ。」
「ちょっとまってくれ、少佐。もう一度やってみるよ。」
伯爵は少し緊張した笑いを漏らし、彼の泥棒道具をもう一度使った。二秒後には、ドアは静かな音を立てて開いた。「ああ、もしかすると、そんなにひどく詰まってなかったのかも。」
少佐は恐ろしい顔をして口を開け、伯爵を怒鳴りつけようとしたが、途中でやめた。伯爵が気遣わしげな顔でこちらを見ていた。つまり何もかもが、やつのやり方そのものだった。 結局、こう言うしかなかった。
「うまくやったな、エロイカ。」
Illustration by SA
訳者メモ:イラストを描いた良(You)さん旭(Shan)さんは中華圏で今のところ唯一のエロイカファンサイト「鋼鐵玫瑰園 - Iron Garden of Roses」を主催。素敵なイラストがたくさんおいてあります!フィク(英文)も! Closet Caseの中文版もこちらで読めます。転載許可ありがとうございました!
翻訳者による覚書:
返信削除"In English, pants = trousers or slacks. Pants can be used for men or women, the others are more gender specific. Trousers = men Slacks = women Underpants is normally used for a woman and means underwear. For a man the term undershorts, briefs, or boxers is used."
個人的に「ズボン」という単語がユーモラスすぎてあまり使いたくなく、「パンツ」「ボトム」もしっくりこなかったので、「下の服」と訳しました。
えーん、間違えたよー。作者マーガレットさんじゃなくてThe Reverandさんだったよー。タイトル差し替えたけど、本人の許可が下りなかったら数日中に記事取り下げです。
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