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作者による注意書き: 私自身の姓がこの作品にとって皮肉になっていることはよくわかっています。 私の知る限り、親族の男性に幼児性愛者はいません。
前編<過去>
私はあの男を愛してなどいなかった。 嫌っているわけでもなかった。 私はあの男と寝るべきではなかった。
だが、あのころの私に何がわかっていたというのだ。 私は13歳で、ジョルジョーネの「若き牧人」が欲しかったのだ。 私は自分が十分に成熟したと考えていた。 私は条件をつけ、約束を引き出した。私の次の誕生日に、あの絵を私に与えると。 それは私の過ちだった。 私の犯した過ち。だが私はいかなる代償を支払ってでもあの絵が欲しかったのだ。たとえ引き換えにするのが、わが身そのものであってさえも。
ドリアンの思考があの宿命的な日に駆け戻った。 私は本当に、それほど幼稚で愚かだったのだろうか?
* * *
プライス卿はソファに座り、ドリアンを膝に載せた。それからかがみこんでキスし、両手をジャケットの中へ滑り込ませた。 少年は体を硬くしていたが、彼は気にも留めなかった。 少年はすでに同意したのだ。それで十分だろう。
ドリアンは今何が起こりつつあるか、考えないようにしていた。ただひたすら、視線をその絵に向けていた。
シャツのボタンがはずされ、プライス卿のざらざらした手が彼自身の柔らかな肌を撫で始めたとき、彼は喉元までせりあがってきたものを呑み込むように堪えた。 やがて彼は小さく跳びあがった。男の手が彼の一方の手を捉え、男の股間に導いたのだった。
「なにをするかはわかっているだろう。」プライス卿は耳元でささやいた。
ドリアンは視線をその絵から引き剥がし、下を向かねばならなかった。彼に手のしたには、ひどく膨らんだものがあった。 「僕は・・・」
プライス卿がジッパーを下ろして前を開けると、すっかり怒張しきったものが少年の手の中に勢いよく転がりこんだ。 ドリアンの手がそれをためらうようにそっと撫でさすると、男は深く震えるような息を漏らした。 「そう・・・」彼は息を吸った。 「そんなふうに・・・ そのまま・・・ いい子だ・・・。」
ドリアンはそうは思っていなかった。 母親は彼を見放していた。彼女の「いい子」ではなかったからだった。彼は大人になったら本格的な窃盗を始めるつもりだった。 いま息子が誰かのペニスをしごいていると知ったら、母親はなんと言うだろう? それは彼自身のものよりも、ずっと大きかった。 彼は以前から、成熟した大人のものが硬くなったらどうなるのか知りたいと思っていた。 今彼はそれを目の当たりにして、微かに怯えていた。 これをうまく取り扱えなかったらどうなるんだろう? 取引は成立しなくなるんだろうか?
「もっと速くだ。」プライス卿は息を吐いた。 彼は背を逸らし、目を閉じた。 彼の手はドリアンの手首を握ったままで、全く何も知らない少年の手に指示を与えていた。 ドリアンが言われたとおりにすると、彼は低いうめき声を漏らした。 数分後、彼は深いうめき声とともに果てた。
男が射精に至ったとき、ドリアンは驚きのあまりぱっと手を離した。 彼は手のひらに垂れ落ちる精液をみつめた。
どうすればいいんだろう? 彼は自分の服でそれを拭きたくなかった。
少年の困惑は、プライス卿のお楽しみの一部だった。 彼はハンカチを取り出して少年に与え、少年が手を拭くのを見つめた。 「さあ、脱ごうか。」彼はやがて静かに命じた。 「服を汚したくないだろう?」
ドリアンは男をじっと見つめ、うなずきながら立ち上がった。 プライス卿が彼の服に手をかけている間、ドリアンはその絵だけを凝視し続けた。ざらざした大きな手が再び彼の肌の上を這い回り、やがて裸の尻に触れた。
「では横になりなさい。」プライス卿は静かな声で言い、少年をソファの上にうつ伏せにした。
その体勢を取らされたとき、ドリアンは腕を上げてソファのひじ置きをつかんだ。 男が服を脱ぐ音が聞こえたが、振り返って確かめたくはなかった。彼の目はただ、その絵だけを見つめていた。 プライス卿は少年の脚の間に跪き、裸の尻を揉みしだきはじめた。
「きみはいい子だね・・・」男は繰り返し言い続けた。 「そして綺麗な子だ・・・」
巧妙な指がドリアンの体の中に滑り込み、ドリアンは声を出さないようにするのが精一杯だった。 彼は顔をクッションに埋め、目を固くつぶった。数分後、男は怒張したものを未経験の入り口に押し付けた。いい子だ、いい子だと繰り返しつぶやきながら。
プライス卿がとうとう中へ押し入った瞬間、ドリアンはついに叫び声をあげた。彼の指はソファのひじ置きを固く握り締めた。 男がゆっくりと自分の中に押し入ってくる間、壊れそうなほどに命がけで握り締めた。 ひどく痛んだ。 彼はとうにそのことを覚悟していた。だが知っているのと現実に味わうのは、まったく別の話だった。特に、それがどういう大きさでどういう硬さであるかわかった後には。
「いい子だ・・・いい子だ・・・」プライス卿は繰り返しながら、抜き差しを速めた。
伯爵は歯を食いしばり、視線を上げてその絵を見つめた。 もうすぐ終わる。 きっともうすぐ終わる・・・
だがそれは数分間続いた。全く経験知らずのドリアンにとっては、永遠にも等しい時間だった。 それから彼は、男がさっきと同じ声をだすのを聞いた。さっき、彼の手のひらいっぱいに射精するまえに漏らしたのと同じ声。終わりは目の前だった。 プライス卿は最後の一突きをくれ、叫び声をあげて少年の体のなかへ彼自身の精を解き放った。
それで終わりだった。 プライス卿はそれを抜き出し、仰向けに座りなおした。満足げな笑みが浮かんでいた。ドリアンは目を閉じ、クッションに顔をうずめた。 あとは誕生日を指折り数えていればいい。「若き牧人」は僕のものだ。
「ドリアン、服を着なさい。」プライス卿は身支度を整えながら言った。「きみの父上がもうすぐきみを迎えに来る。」
ドリアンはうなずき、ゆっくりと立ち上がった。痛みに震えながら。 この痛みはしばらくは続くのだろう。 だがあの絵は彼のものだった。 彼は支払いを済ませた。 彼はただ、プライス卿が取引を完了するのを待つだけでよいはずだった。
だが、取引はついに行われなかった。
誕生日に届いた贋作を手にしたとき、ドリアンは高すぎる学費を支払ったことに気づき、屈辱をかみ締めた。
14歳にして、彼は恐るべきレッスンを受けたのだった。 おろかな取引だった。そして彼が支払った代償は、二度と取り返しのつくものではなかった。
* * *
「そのあと、私はその絵を盗もうとしたんだ。」ドリアンは静かに言った。「でも私はたったの14歳で、全く経験がなかった。 私は犬に追いかけられて、もう少しで捕まってしまうところだった。」深いため息をついた。 「というわけで、エロイカの最初の窃盗は、惨めな結果に終わったのさ。」
彼が語り終えると、長い沈黙が降りた。 彼はグローリア城の書斎にクラウスといっしょにいた。クラウスは向かいの椅子に座っていたが、その表情は読めなかった。 沈黙に耐え切れなくなり、ドリアンはとうとう訊ねた。「何も言わないのかい?」
暗い緑の目が彼を見上げた。 「何を言って欲しいんだ?」 静かな答えが返った。
「さあ・・・。 たぶん、きみが私にいつも言うようなことだね。 馬鹿者とか、いい気味だとか。」
「・・・おまえは小僧っ子だった。 その男は最悪の変質者で、おまえをペテンにかけたんだ。」クラウスは短く答えた。 彼は壁にかかっている、今話題に上がったその絵画をちらりと見た。 「その男からそれを盗んだことだけは認めてやるさ。」
ドリアンは首を振った。 「それはあの男が死んだ後の話だよ。 プライス卿のコレクションが売りに出されるまで、私はそれを記憶の底に封じ込めておくのに成功していたのさ。」
クラウスは深く息を吸い、頭を振った。 「おまえは、気に入った美術品にはいつもそうなんだろ。」
「そう来ると思ったよ。」ドリアンは冷静に言った。 「きみに言うんじゃなかった。」
「おまえが自分で話したんだぞ。」
ドリアンは冷笑し、身を翻した。 「きみが私の初体験を訊ねてきたんだよ。 私はどう言えばよかったんだい?」
「馬鹿正直に答えんでもよかったんだ、ドリアン。 いつもはおれの質問に、正直に答えたりせんだろうが。」クラウスは指摘した。 「そんな細かいことまで、あらいざらい話し出すとは思わんかったぞ。」
ドリアンは振り返り、彼を見た。 「きみには話しておくべきだと思ったんだ。それだけだよ。」
クラウスは何かを考え込んでいるような顔でうなずき、コーヒーを口にした。 これほど海千山千の恋人と一緒にいれば、できれば知りたくないような過去のあれこれを、なにも知らないままでおくのも難しかった。 この件もまた、事細かには知りたくなかったことのひとつだった。 つい最近クラウスをベッドに引きずり込むまでに、ドリアンには何人の経験があったのだろう? 何人だったら多すぎるとおれは思うんだ? クラウスにとって答えは簡単だった。 一人以上なら、もうそれでたくさんだ。
「さあクラウス、 きみの番だ。」
クラウスはさっと顔を上げた。 「おれの番?なんのだ?」
「きみの初めてのセックスの話をききたいな。」
クラウスは椅子に座りなおし、顔が赤くなっていなければいいがと考えた。 彼はやや努力して笑顔を作った。「なんでだ? おまえ、おれと初めて寝たときのことを覚えてないのか? たぶんおれは、ひどくみっともなかったんだろうな。」
ドリアンはぽかんと口を開けた。 彼は、クラウスは一度は女性と寝ているだろうと確信していた。自分が異性愛者であることを自分自身にきっちり証明するために。 「きみ・・・きみって・・・」
クラウスはうなずいた。 「おまえが初めてだ。」
「おお、クラウス!」 ドリアンは椅子から転がり降り、クラウスの上にほとんど飛び乗らんばかりになってキスを浴びせた。 「全然知らなかったよ。なんて果報者なんだろう、私は。」
クラウスは小さく笑った。 「全くその通りだな、おまえは。」
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A Price Too High 後編<現在>に続く・・・
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