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三週間後、クラウスは予告なしにグローリア城を訪れた。 彼はずかずかと城内に入り込み、使用人たちを手のひらの一振りで下がらせて、真っ直ぐに伯爵の寝室へ向かった。 寝室へ足を踏み入れそうになった瞬間、彼は唐突に立ち止まり、ドアを開ける代わりにノックをした。
「誰であろうと下がりたまえ。起きるには早すぎる時間だ。」伯爵がうめいた。
「おれのノックがわからんのか。」 クラウスはそういって、大股で寝室に入り込んだ。 「だいたい、早い時間なんぞじゃないぞ。」
ドリアンは身を翻し、目を開いた。 「クラウス! なんて素晴らしいサプライズなんだ!」 彼は体をずらせて、ベッドにスペースを作った。 「入っておいでよ。」
「さっさと起きて服を着ろ。 誕生日だろ。出かけるぞ。」
ドリアンの眉が上がった。 「ほんとかい?」
「ああ。」
ドリアンはベッドから跳び下りた。 身支度に半時間とかけなかった。 バスルームから出てきたときには、にんまり笑いを満面に浮かべていた。「それで、どこに連れて行ってくれるんだい?」
「まずは朝食だ。」
「どこに?」
「サプライズだ。教えてやらん。」 クラウスはかわした。
「わお、そういうのって大好きさ。」
クラウスの目が揺らめいたが、彼は無言のまま車へ向かった。
* * *
ドリアンは、その日のために何が用意されているのかあててみようと躍起になった。 クラウスはときどき、ロマンチスト気味になることを自分に許すことがあった。 ドリアンがそれを始めてかいま見たのは、彼らが孤島に取り残されたときのことで、クラウスはそのとき古いドイツの軍歌を歌い、磨き抜かれた鋼鉄の美しさを語ったのだった。 その後、彼はひどくロマンティックなやりかたで、伯爵を列車に招き、NATOの仕事を引き受けさせたりもした。以来、伯爵とのやり取りの中で、彼のそういった一面はしばしば姿を見せた。 恋人となった今では、クラウスは彼のロマンティシズムをさらに頻繁にドリアンに示すようになりつつあった。彼の恋人があまりにも彼を煩がらせさえしなければ。
クラウスがその日初めにしたことは、ドリアンをお気に入りのレストランに連れて行くことだった。 従業員達はみなドリアンのことをよく知っており、彼らはいつもの通り愛想良く歓迎された。 そこでクラウスがわざとうっかり、今日が伯爵の誕生日であることを漏らすと、歓迎は大歓迎になった。
「すばらしいサプライズだったよ。」レストランから出て、ドリアンは言った。
「ホテルにプレゼントを置いとる。」クラウスはおどけた笑顔で答えた。
「プレゼント?私に?」 ドリアンは甘えた声で言った。
クラウスは横目で彼を見た。 「たぶんな。」
数分後、クラウスはスイートルームのドアを開けた。 部屋に入り、彼はドリアンの方に向き直った。彼は小さな笑みを浮かべて、恋人を部屋に引き入れた。 そこはクラウスはいつも泊まるような、飾り気のない部屋ではなかった。
ドリアンにしがみつかれ、情熱的なキスを受け、服を引っ張られつつ、クラウスはやっとのことで部屋のドアを閉めた。 じらすのもそこまでだった。 「寝室は奥だ。」言うや否やそこへ引きずり込まれ、ほとんどベッドに投げ飛ばされた。
「おい、やりたい盛りのガキみたいだな。」 笑っている間にも、クラウスの服はどんどん脱がされていった。
ドリアンは輝くような笑みを浮かべて、自分も裸になった。 「じっとしておいで。痛いことはしないからね。」
「誰であろうと下がりたまえ。起きるには早すぎる時間だ。」伯爵がうめいた。
「おれのノックがわからんのか。」 クラウスはそういって、大股で寝室に入り込んだ。 「だいたい、早い時間なんぞじゃないぞ。」
ドリアンは身を翻し、目を開いた。 「クラウス! なんて素晴らしいサプライズなんだ!」 彼は体をずらせて、ベッドにスペースを作った。 「入っておいでよ。」
「さっさと起きて服を着ろ。 誕生日だろ。出かけるぞ。」
ドリアンの眉が上がった。 「ほんとかい?」
「ああ。」
ドリアンはベッドから跳び下りた。 身支度に半時間とかけなかった。 バスルームから出てきたときには、にんまり笑いを満面に浮かべていた。「それで、どこに連れて行ってくれるんだい?」
「まずは朝食だ。」
「どこに?」
「サプライズだ。教えてやらん。」 クラウスはかわした。
「わお、そういうのって大好きさ。」
クラウスの目が揺らめいたが、彼は無言のまま車へ向かった。
* * *
ドリアンは、その日のために何が用意されているのかあててみようと躍起になった。 クラウスはときどき、ロマンチスト気味になることを自分に許すことがあった。 ドリアンがそれを始めてかいま見たのは、彼らが孤島に取り残されたときのことで、クラウスはそのとき古いドイツの軍歌を歌い、磨き抜かれた鋼鉄の美しさを語ったのだった。 その後、彼はひどくロマンティックなやりかたで、伯爵を列車に招き、NATOの仕事を引き受けさせたりもした。以来、伯爵とのやり取りの中で、彼のそういった一面はしばしば姿を見せた。 恋人となった今では、クラウスは彼のロマンティシズムをさらに頻繁にドリアンに示すようになりつつあった。彼の恋人があまりにも彼を煩がらせさえしなければ。
クラウスがその日初めにしたことは、ドリアンをお気に入りのレストランに連れて行くことだった。 従業員達はみなドリアンのことをよく知っており、彼らはいつもの通り愛想良く歓迎された。 そこでクラウスがわざとうっかり、今日が伯爵の誕生日であることを漏らすと、歓迎は大歓迎になった。
「すばらしいサプライズだったよ。」レストランから出て、ドリアンは言った。
「ホテルにプレゼントを置いとる。」クラウスはおどけた笑顔で答えた。
「プレゼント?私に?」 ドリアンは甘えた声で言った。
クラウスは横目で彼を見た。 「たぶんな。」
数分後、クラウスはスイートルームのドアを開けた。 部屋に入り、彼はドリアンの方に向き直った。彼は小さな笑みを浮かべて、恋人を部屋に引き入れた。 そこはクラウスはいつも泊まるような、飾り気のない部屋ではなかった。
ドリアンにしがみつかれ、情熱的なキスを受け、服を引っ張られつつ、クラウスはやっとのことで部屋のドアを閉めた。 じらすのもそこまでだった。 「寝室は奥だ。」言うや否やそこへ引きずり込まれ、ほとんどベッドに投げ飛ばされた。
「おい、やりたい盛りのガキみたいだな。」 笑っている間にも、クラウスの服はどんどん脱がされていった。
ドリアンは輝くような笑みを浮かべて、自分も裸になった。 「じっとしておいで。痛いことはしないからね。」
「最初のときにもそう言ったな。」
「それで、痛かったかい?」
「痛かったぞ!」
「その痛みの最初から最後まで楽しんだくせに。」ドリアンはにんまり笑った。
クラウスがどう言い返してやるかを思いつく前に、ドリアンが唐突に訊ねた。「ねえ、プレゼントはどこかな?」
クラウスはベッドサイドに準備してあった潤滑剤を指した。 そして自分からベッドに横たわった。 ひざを折り、ゆっくりと脚を開きながら、笑みを浮かべて恋人の表情の変化を見つめた。 その体位は彼にとっては辛いものだったが、恋人の誕生日に捧げてやろうというのだった。 特に、ドリアンがクラウスの中に入るのがどれほど好きかを知ったからには。
「クラウス、ほんとにいいのかい・・・?」 ドリアンはクラウスの脚の間に割って入りながら訊ねた。
クラウスは身を起こし、ドリアンに情熱的な口付けを与えた。 「訊かんでもいい。おまえにやるんだ。」 それが、伝えたかったことのすべてだった。 クラウスの恋人は、体中にキスを浴びせながらクラウスをベッド上に彼を押し戻し、彼の上にのりかかった。 クラウスが目を閉じると伯爵の手が降り、クラウスの硬くそそりたったものを捕らえ、撫で上げた。クラウスの口からうめきが洩れた。 それから、滑らかな指が彼の中に滑り込み、クラウスは小さな叫びを上げた。
ドリアンが指を探るようにうごめかせると、クラウスは背を弓なりに逸らして反応した。ドリアンはにやっと笑った。 二本目の指が入り、痛いほどに怒張した伯爵を迎え入れられるよう、優しく準備を整えた。注意深く数分間慣らした後に、彼は指を抜いてひざまずき、自分自身のものに潤滑剤をくまなく塗りつけた。 それから彼は体を倒し、鋭く突いた。
それが入った瞬間、クラウスは叫び声をあげた。 かれは震えながら両手を挙げ、ゆっくりと腰を使い始めたドリアンの肩をつかまえようとした。ドリアンはクラウスの手首を掴み、ベッドに押さえつけた。 それから挿入の角度を少し変えて、クラウスの一番敏感な部分をあやまたず突き始めた。クラウスは鋭い叫びを上げ、ドリアンの下で腰を跳ね上げた。 「とめろ、ドリアン!」 彼は激しくあえいだ。
ドリアンはにやりと笑いかえしただけで、そのまま規則正しいリズムで、気が狂いそうになるほどに緩やかな抜き差しを続けた。それは恋人が彼の下でびくびくと震えだすまで続いた。 クラウスは掴まれた手首を振りほどこうとしたが、ドリアンはさらに強く押さえつけ、彼をベッドに串刺しにした。 だめだよ、今日のきみはわたしのものなんだから、 わたしのやりたいようにやるんだ。
何度か逃れようと試みた後、クラウスはドリアンが本気なのだと悟った。手をふりほどき、動きをやめさせるには、本気でやり合うしかないようだった。 明らかに、ドリアンはクラウスの正気を失わせようとしていて、しかも見事に成功していた。
クラウスがのたうちながら腰を浮かせ、絶え絶えにあえいでいるのを見て、ドリアンは輝くような笑みを浮かべた。 さあ、赦しを請うまで、あとどのくらい我慢できるんだい? 彼はゆっくりと続けた。長く続ければ続けるほど、恋人が半狂乱になってゆくのが判っていた。 クラウスがもう一度、手首を引き抜こうと暴れた。 そう、逃げたいんだよね。そうだね? ドリアンはさらにしっかりを手首を押さえ、クラウスは怒りと不満がない交ぜになった声を漏らした。
「なにが欲しいのかな、ダーリン?」 かれは腰の動きを止め、じらすように言った。
「ドリアン、 おれを…おれをこんなに・・・」
「言ってごらん?」
クラウスは彼を驚いたように見つめた。 「おれに、赦しを請えとでも言うつもりか?」 赦しやら哀れみやらを請うなどというのは、いかなる状況下でも鉄のクラウスにはありえないことだった。
「そうさ。 私に赦しを請うんだよ。もう許してくれって、おねだりするのさ。」ドリアンはそう言って、にんまり笑った。それが経験の浅い恋人にとっては、どれほど行き過ぎた戯れかとは気づかないままに。
「・・・ほう、そうかね。 それでおまえはその代わりにかぼちゃパンツをよこせと言うわけだな。」 口にするや否や、自分が何を言ったのかはっきりと理解した。 それは決して口にしてはならない一言で、クラウスにはそれがよく判った。 ドリアンがクラウスに平手打ちをくれてベッドを降りたのにも無理はないほど、 たいした効果だった。なにもかもが完全にぶちこわしだった。
「きみは最低だよ。」 ドリアンは罵った。 彼は自分の服を掴み上げ、すばやく着込もうとして恋人の手に止められたが、それを振り払った。
「ドリアン、悪かった。 おれはひどいことを言った。」
「そうだよ。そのとおりさ。」 ドリアンは涙をいっぱいに浮かべた瞳で彼を見た。 「きみを信頼していたから話したんだ、クラウス。 それをきみは・・・きみは下劣な冗談みたいに・・・。」
クラウスは深いため息をつき、ベッドに腰掛けなおした。誕生日のサプライズは、彼が計画した通りにはいかないようだった。 「同じじゃないとは言わせんぞ。」彼は静かに言った。
出て行くべきかどうかぐずぐずと決めかねていたドリアンは、さっと顔をあげた。 「なにが同じなのさ。」
「おまえはその絵のためなら何でもすると言った。それでその男と寝たんだろうが。 おまえは、あのかぼちゃの絵についても同じことを言ったぞ。かぼちゃパンツのためなら何でもするとな。そしておまえはいつも、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる。」
ドリアンは目を大きく見開いた。 「クラウス、私は『紫を着る男』が欲しくてきみと寝たんじゃない。」
クラウスは目を閉じた。 「知っとる。」
「じゃあどうして、あんな・・・ひどい・・・?」
「おれにもわからん。 たぶん、はっきりさせたかったからかも知れん。」
ドリアンは目を細め、なにかを疑うようにクラウスを見つめた。 「はっきりさせるって、何を?」
クラウスはドアの方を示した。 「クローゼットの中を見てみろ。」
「なぜ?」
「誕生日のプレゼントはそこだ。」
クローゼットの中になにがあるのか突然気が付き、ドリアンは開けるのが怖くなった。 恐る恐る扉を開くと、思ったとおりだった。 「紫を着る男」が、壁に持たせかけられていた。
「誕生日おめでとう。」クラウスの声は、ドリアンの耳に皮肉に響いた。
クラウスが後ろに立つ前に、ドリアンはさっと振り返った。 「受け取れないよ。」口にしたのは、自分でも驚くようなひとことだった。
「これはご機嫌取りじゃないんだ、ドリアン。」クラウスは落ち着いた声で言った。 「これを決めたのは、おまえが前回おれの屋敷に来たときだ。おまえはあの絵から視線をはがすのさえ辛そうだった。 おまえにくれてやったら、宝物のように大事にするのはわかっていた。 だから、おまえが帰った後すぐにロンドンに送って保管していたのさ。誕生日の贈り物にできるようにな。」 彼はそこで言葉を切った。 「あの話を聞いたのは、その後だ。」
ドリアンは手で口を覆った。 「だからあの時、きみは黙っていたんだ。 私はきみが内心では私を道徳的に責めていて、ただそれを私に言いたくないからだと思っていたんだよ。」 彼は恋人を抱きしめた。 「そしてさっきは、きみが私の誕生日のために考えたことが、あの話のせいで汚されてしまったようで、きみ自身驚いたんだね。」
クラウスは抱擁を解いてドリアンの目をみつめた。 「おまえを傷つけるつもりはなかった。だが傷つけたのは事実だ。 おれが引き起こしてしまったことすべてについて、悪かった。謝る。」 彼は深いため息をついた。「おれは馬鹿者だ。」
「うん、そうさ、きみは大馬鹿者だよ。」ドリアンはうなずいた。 「でもそこを愛しているのさ。」 彼はクラウスの顎を引き寄せて、情熱的な口付けを与えながら、微笑まずにはいられなかった。クラウスのあそこがすごく硬くなって、こちらに押し付けられてきたからだった。 彼は背をそらせて恋人を見つめ、にやっと笑った。それから彼を引きずって寝室に戻り、ベッドへ突き飛ばした。 「どうやらきついお仕置きが必要みたいだね。」
クラウスの眉が上がった。 「そう思うのか?」 彼はベッドに横たわった。
「ああ、そのとおりさ。」ドリアンはにやりと笑った。 「きみをめちゃくちゃにしてやるよ、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐。」
「鉄のクラウスは赦しなど請わん。」クラウスは平静な声で答えた。
「きみがそう思っているだけだね。」
クラウスが答えを返す前に、ドリアンはクラウスに跨った。 彼はそのまま挿入し、クラウスのうめき声を引き出した。 クラウスの両手首はふたたびベッドに押し付けられ、恋人は再び規則正しく緩やかに、気の触れそうな抜き差しを再開した。 クラウスは頭をのけぞらせ、背が弓なりに反り返った。腰の動きが、恋人のものと同調し始めた。数分後に、ドリアンは望みのものを得た。クラウスは赦しを請うた。
「鉄のクラウスには、敵の哀れみなど不要かと思っていたよ。」
クラウスは満たされない叫び声で応えた。
ドリアンは返事のかわりににやにや笑った。 「ごめんなさい、は?」
「ごめんなさい。悪かったです。もう言いません!」
「おや、 いたずら坊やだねえ、じゃあわたしがなにが欲しがってるか、わかっているね。」
「はい。 それはあのくそったれな絵なんかじゃありません!」
ドリアンは目をぱちくりさせた。 この答えは期待していたものとは違っていた。 それでも彼は、敗北を認めたクラウスを見下ろして微笑んだ。 両手を自由にしてやると、クラウスは自分のものをしごき始めた。伯爵は速度を上げた。息遣いも同時に上がりだした。
クラウスがうっと呻いて達しつつ、同時に激しく体を震わせた。 それで伯爵も限界を超えた。彼は夢中で腰を使い、恋人の体の中いっぱいに精を放ち、果てた。 それから彼はクラウスの体の上にがっくりと崩れ落ち、クラウスの両腕に抱かれて目を閉じた。
クラウスが寝返りを打ち、恋人を抱きしめた。 ドリアンは恋人の体からするりと抜け出して、背中を向けた。頬を赤らめていた。 「いままでもらった中で、最高の誕生日プレゼントだったよ。」彼は幸せそうにそう告げた。
「さっきの喧嘩がなかったらな。」クラウスがまぜっかえした。
「喧嘩も含めてさ。」
クラウスは顔をしかめた。 「なんでそう思うんだ?」
ドリアンはクラウスのほうに向き直り、素早いキスを与えた。 「どうしてかというとね、私が美術品とセックスのことしか頭にない馬鹿な変態じゃないってことを、きみがやっとわかってくれたからだよ。」
クラウスの眉が跳ね上がった。 「おれはまたなにかへまをしでかしたか? 美術品とセックスとの交換の話をしてたと思っとったが。」
ドリアンは起き上がり、長い間じっと黙ってクラウスの顔を見つめた。 彼の恋人は時折、信じられないほどに鈍感なことがあるのだった。 「私はきみを、世界中のすべての美術品とだって交換しないよ。」
クラウスはにやっと笑い、胸の上にドリアンを引き上げた。「おれとセックスは交換してくれるのか?」
ドリアンは考え込んだ振りをした。 「だれとのセックスと?」
「くそっ、この変態!」 クラウスは勢いよく身体を翻し、ドリアンを体の下に引きこんだ。 「今度はおまえをひいひい言わせてやる番だぞ!」
「でも今日はわたしの誕生日なんだよ!」 ドリアンは楽しげに言い返した。
今度はクラウスが考え込んだ振りをする番だった。 「いいだろう。 意地悪はほどほどにしてやるさ。ほんの少しにな。」
クラウスが彼をくすぐり始めると、ドリアンは嬌声をあげた。 「だめ、だめだよ、お願いだ、だめ!」 彼は笑い出した。
「そんなにさっさと言うな、馬鹿者!」
「あっ、ごめんよ。 いいよいいよ、続けて。」
「おまえ、そんなんだったら、 あの絵は持って帰るぞ。」
「最低!死んじまえ!」
クラウスはドリアンの負けず嫌いな言い方を笑った。 それから彼は急に真面目な顔になった。「さっき言ったこと、許してくれ。」
ドリアンは、微笑まずにはいられなかった。 良心の呵責を感じているときのクラウスときたら、惚れ惚れするほど可愛らしかった。 「わかってるさ。」 彼は素早くキスした。 「だから、埋め合わせをしてくれなきゃね。」
クラウスはドリアンを横目でみた。 「ん? なにをすればいいんだ?」
ドリアンの顔に微笑が広がった。 「今それを考えているところさ。 私は繊細なんだからね。 立ち直るまでにすごーく時間がかかるかもしれないな。」
「次の誕生日まで、ずっとおれに払わせるつもりだな?」
「んん、ふふふ。」ドリアンは甘えた声を出した。 「ずいぶん高い支払いになっちゃったね、ダーリン?」
クラウスは背中を反らせて、真面目に考え込んだ振りをした。
「どうしたのさ・・・?」 ドリアンは楽しげに訊ねた。
「分割払いでもいいか?」
返事の変わりにドリアンは噴き出した。 それから彼は悲鳴を上げた。クラウスが再び彼をくすぐり始めたのだった。次の瞬間、ドリアンはクラウスの熱烈なキスを受けていた。
「おれは許してもらえたのかね?」
ドリアンはクラウスに腕を巻きつけ、キスを返した。 「うん。」
「それならいい。」 クラウスは微笑み、恋人の体に沿ってゆっくりと手のひらを撫で下ろした。 「なら、これが、第一回目の支払いだ。」
「それで、痛かったかい?」
「痛かったぞ!」
「その痛みの最初から最後まで楽しんだくせに。」ドリアンはにんまり笑った。
クラウスがどう言い返してやるかを思いつく前に、ドリアンが唐突に訊ねた。「ねえ、プレゼントはどこかな?」
クラウスはベッドサイドに準備してあった潤滑剤を指した。 そして自分からベッドに横たわった。 ひざを折り、ゆっくりと脚を開きながら、笑みを浮かべて恋人の表情の変化を見つめた。 その体位は彼にとっては辛いものだったが、恋人の誕生日に捧げてやろうというのだった。 特に、ドリアンがクラウスの中に入るのがどれほど好きかを知ったからには。
「クラウス、ほんとにいいのかい・・・?」 ドリアンはクラウスの脚の間に割って入りながら訊ねた。
クラウスは身を起こし、ドリアンに情熱的な口付けを与えた。 「訊かんでもいい。おまえにやるんだ。」 それが、伝えたかったことのすべてだった。 クラウスの恋人は、体中にキスを浴びせながらクラウスをベッド上に彼を押し戻し、彼の上にのりかかった。 クラウスが目を閉じると伯爵の手が降り、クラウスの硬くそそりたったものを捕らえ、撫で上げた。クラウスの口からうめきが洩れた。 それから、滑らかな指が彼の中に滑り込み、クラウスは小さな叫びを上げた。
ドリアンが指を探るようにうごめかせると、クラウスは背を弓なりに逸らして反応した。ドリアンはにやっと笑った。 二本目の指が入り、痛いほどに怒張した伯爵を迎え入れられるよう、優しく準備を整えた。注意深く数分間慣らした後に、彼は指を抜いてひざまずき、自分自身のものに潤滑剤をくまなく塗りつけた。 それから彼は体を倒し、鋭く突いた。
それが入った瞬間、クラウスは叫び声をあげた。 かれは震えながら両手を挙げ、ゆっくりと腰を使い始めたドリアンの肩をつかまえようとした。ドリアンはクラウスの手首を掴み、ベッドに押さえつけた。 それから挿入の角度を少し変えて、クラウスの一番敏感な部分をあやまたず突き始めた。クラウスは鋭い叫びを上げ、ドリアンの下で腰を跳ね上げた。 「とめろ、ドリアン!」 彼は激しくあえいだ。
ドリアンはにやりと笑いかえしただけで、そのまま規則正しいリズムで、気が狂いそうになるほどに緩やかな抜き差しを続けた。それは恋人が彼の下でびくびくと震えだすまで続いた。 クラウスは掴まれた手首を振りほどこうとしたが、ドリアンはさらに強く押さえつけ、彼をベッドに串刺しにした。 だめだよ、今日のきみはわたしのものなんだから、 わたしのやりたいようにやるんだ。
何度か逃れようと試みた後、クラウスはドリアンが本気なのだと悟った。手をふりほどき、動きをやめさせるには、本気でやり合うしかないようだった。 明らかに、ドリアンはクラウスの正気を失わせようとしていて、しかも見事に成功していた。
クラウスがのたうちながら腰を浮かせ、絶え絶えにあえいでいるのを見て、ドリアンは輝くような笑みを浮かべた。 さあ、赦しを請うまで、あとどのくらい我慢できるんだい? 彼はゆっくりと続けた。長く続ければ続けるほど、恋人が半狂乱になってゆくのが判っていた。 クラウスがもう一度、手首を引き抜こうと暴れた。 そう、逃げたいんだよね。そうだね? ドリアンはさらにしっかりを手首を押さえ、クラウスは怒りと不満がない交ぜになった声を漏らした。
「なにが欲しいのかな、ダーリン?」 かれは腰の動きを止め、じらすように言った。
「ドリアン、 おれを…おれをこんなに・・・」
「言ってごらん?」
クラウスは彼を驚いたように見つめた。 「おれに、赦しを請えとでも言うつもりか?」 赦しやら哀れみやらを請うなどというのは、いかなる状況下でも鉄のクラウスにはありえないことだった。
「そうさ。 私に赦しを請うんだよ。もう許してくれって、おねだりするのさ。」ドリアンはそう言って、にんまり笑った。それが経験の浅い恋人にとっては、どれほど行き過ぎた戯れかとは気づかないままに。
「・・・ほう、そうかね。 それでおまえはその代わりにかぼちゃパンツをよこせと言うわけだな。」 口にするや否や、自分が何を言ったのかはっきりと理解した。 それは決して口にしてはならない一言で、クラウスにはそれがよく判った。 ドリアンがクラウスに平手打ちをくれてベッドを降りたのにも無理はないほど、 たいした効果だった。なにもかもが完全にぶちこわしだった。
「きみは最低だよ。」 ドリアンは罵った。 彼は自分の服を掴み上げ、すばやく着込もうとして恋人の手に止められたが、それを振り払った。
「ドリアン、悪かった。 おれはひどいことを言った。」
「そうだよ。そのとおりさ。」 ドリアンは涙をいっぱいに浮かべた瞳で彼を見た。 「きみを信頼していたから話したんだ、クラウス。 それをきみは・・・きみは下劣な冗談みたいに・・・。」
クラウスは深いため息をつき、ベッドに腰掛けなおした。誕生日のサプライズは、彼が計画した通りにはいかないようだった。 「同じじゃないとは言わせんぞ。」彼は静かに言った。
出て行くべきかどうかぐずぐずと決めかねていたドリアンは、さっと顔をあげた。 「なにが同じなのさ。」
「おまえはその絵のためなら何でもすると言った。それでその男と寝たんだろうが。 おまえは、あのかぼちゃの絵についても同じことを言ったぞ。かぼちゃパンツのためなら何でもするとな。そしておまえはいつも、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる。」
ドリアンは目を大きく見開いた。 「クラウス、私は『紫を着る男』が欲しくてきみと寝たんじゃない。」
クラウスは目を閉じた。 「知っとる。」
「じゃあどうして、あんな・・・ひどい・・・?」
「おれにもわからん。 たぶん、はっきりさせたかったからかも知れん。」
ドリアンは目を細め、なにかを疑うようにクラウスを見つめた。 「はっきりさせるって、何を?」
クラウスはドアの方を示した。 「クローゼットの中を見てみろ。」
「なぜ?」
「誕生日のプレゼントはそこだ。」
クローゼットの中になにがあるのか突然気が付き、ドリアンは開けるのが怖くなった。 恐る恐る扉を開くと、思ったとおりだった。 「紫を着る男」が、壁に持たせかけられていた。
「誕生日おめでとう。」クラウスの声は、ドリアンの耳に皮肉に響いた。
クラウスが後ろに立つ前に、ドリアンはさっと振り返った。 「受け取れないよ。」口にしたのは、自分でも驚くようなひとことだった。
「これはご機嫌取りじゃないんだ、ドリアン。」クラウスは落ち着いた声で言った。 「これを決めたのは、おまえが前回おれの屋敷に来たときだ。おまえはあの絵から視線をはがすのさえ辛そうだった。 おまえにくれてやったら、宝物のように大事にするのはわかっていた。 だから、おまえが帰った後すぐにロンドンに送って保管していたのさ。誕生日の贈り物にできるようにな。」 彼はそこで言葉を切った。 「あの話を聞いたのは、その後だ。」
ドリアンは手で口を覆った。 「だからあの時、きみは黙っていたんだ。 私はきみが内心では私を道徳的に責めていて、ただそれを私に言いたくないからだと思っていたんだよ。」 彼は恋人を抱きしめた。 「そしてさっきは、きみが私の誕生日のために考えたことが、あの話のせいで汚されてしまったようで、きみ自身驚いたんだね。」
クラウスは抱擁を解いてドリアンの目をみつめた。 「おまえを傷つけるつもりはなかった。だが傷つけたのは事実だ。 おれが引き起こしてしまったことすべてについて、悪かった。謝る。」 彼は深いため息をついた。「おれは馬鹿者だ。」
「うん、そうさ、きみは大馬鹿者だよ。」ドリアンはうなずいた。 「でもそこを愛しているのさ。」 彼はクラウスの顎を引き寄せて、情熱的な口付けを与えながら、微笑まずにはいられなかった。クラウスのあそこがすごく硬くなって、こちらに押し付けられてきたからだった。 彼は背をそらせて恋人を見つめ、にやっと笑った。それから彼を引きずって寝室に戻り、ベッドへ突き飛ばした。 「どうやらきついお仕置きが必要みたいだね。」
クラウスの眉が上がった。 「そう思うのか?」 彼はベッドに横たわった。
「ああ、そのとおりさ。」ドリアンはにやりと笑った。 「きみをめちゃくちゃにしてやるよ、クラウス・ハインツ・フォン・デム・エーベルバッハ少佐。」
「鉄のクラウスは赦しなど請わん。」クラウスは平静な声で答えた。
「きみがそう思っているだけだね。」
クラウスが答えを返す前に、ドリアンはクラウスに跨った。 彼はそのまま挿入し、クラウスのうめき声を引き出した。 クラウスの両手首はふたたびベッドに押し付けられ、恋人は再び規則正しく緩やかに、気の触れそうな抜き差しを再開した。 クラウスは頭をのけぞらせ、背が弓なりに反り返った。腰の動きが、恋人のものと同調し始めた。数分後に、ドリアンは望みのものを得た。クラウスは赦しを請うた。
「鉄のクラウスには、敵の哀れみなど不要かと思っていたよ。」
クラウスは満たされない叫び声で応えた。
ドリアンは返事のかわりににやにや笑った。 「ごめんなさい、は?」
「ごめんなさい。悪かったです。もう言いません!」
「おや、 いたずら坊やだねえ、じゃあわたしがなにが欲しがってるか、わかっているね。」
「はい。 それはあのくそったれな絵なんかじゃありません!」
ドリアンは目をぱちくりさせた。 この答えは期待していたものとは違っていた。 それでも彼は、敗北を認めたクラウスを見下ろして微笑んだ。 両手を自由にしてやると、クラウスは自分のものをしごき始めた。伯爵は速度を上げた。息遣いも同時に上がりだした。
クラウスがうっと呻いて達しつつ、同時に激しく体を震わせた。 それで伯爵も限界を超えた。彼は夢中で腰を使い、恋人の体の中いっぱいに精を放ち、果てた。 それから彼はクラウスの体の上にがっくりと崩れ落ち、クラウスの両腕に抱かれて目を閉じた。
クラウスが寝返りを打ち、恋人を抱きしめた。 ドリアンは恋人の体からするりと抜け出して、背中を向けた。頬を赤らめていた。 「いままでもらった中で、最高の誕生日プレゼントだったよ。」彼は幸せそうにそう告げた。
「さっきの喧嘩がなかったらな。」クラウスがまぜっかえした。
「喧嘩も含めてさ。」
クラウスは顔をしかめた。 「なんでそう思うんだ?」
ドリアンはクラウスのほうに向き直り、素早いキスを与えた。 「どうしてかというとね、私が美術品とセックスのことしか頭にない馬鹿な変態じゃないってことを、きみがやっとわかってくれたからだよ。」
クラウスの眉が跳ね上がった。 「おれはまたなにかへまをしでかしたか? 美術品とセックスとの交換の話をしてたと思っとったが。」
ドリアンは起き上がり、長い間じっと黙ってクラウスの顔を見つめた。 彼の恋人は時折、信じられないほどに鈍感なことがあるのだった。 「私はきみを、世界中のすべての美術品とだって交換しないよ。」
クラウスはにやっと笑い、胸の上にドリアンを引き上げた。「おれとセックスは交換してくれるのか?」
ドリアンは考え込んだ振りをした。 「だれとのセックスと?」
「くそっ、この変態!」 クラウスは勢いよく身体を翻し、ドリアンを体の下に引きこんだ。 「今度はおまえをひいひい言わせてやる番だぞ!」
「でも今日はわたしの誕生日なんだよ!」 ドリアンは楽しげに言い返した。
今度はクラウスが考え込んだ振りをする番だった。 「いいだろう。 意地悪はほどほどにしてやるさ。ほんの少しにな。」
クラウスが彼をくすぐり始めると、ドリアンは嬌声をあげた。 「だめ、だめだよ、お願いだ、だめ!」 彼は笑い出した。
「そんなにさっさと言うな、馬鹿者!」
「あっ、ごめんよ。 いいよいいよ、続けて。」
「おまえ、そんなんだったら、 あの絵は持って帰るぞ。」
「最低!死んじまえ!」
クラウスはドリアンの負けず嫌いな言い方を笑った。 それから彼は急に真面目な顔になった。「さっき言ったこと、許してくれ。」
ドリアンは、微笑まずにはいられなかった。 良心の呵責を感じているときのクラウスときたら、惚れ惚れするほど可愛らしかった。 「わかってるさ。」 彼は素早くキスした。 「だから、埋め合わせをしてくれなきゃね。」
クラウスはドリアンを横目でみた。 「ん? なにをすればいいんだ?」
ドリアンの顔に微笑が広がった。 「今それを考えているところさ。 私は繊細なんだからね。 立ち直るまでにすごーく時間がかかるかもしれないな。」
「次の誕生日まで、ずっとおれに払わせるつもりだな?」
「んん、ふふふ。」ドリアンは甘えた声を出した。 「ずいぶん高い支払いになっちゃったね、ダーリン?」
クラウスは背中を反らせて、真面目に考え込んだ振りをした。
「どうしたのさ・・・?」 ドリアンは楽しげに訊ねた。
「分割払いでもいいか?」
返事の変わりにドリアンは噴き出した。 それから彼は悲鳴を上げた。クラウスが再び彼をくすぐり始めたのだった。次の瞬間、ドリアンはクラウスの熱烈なキスを受けていた。
「おれは許してもらえたのかね?」
ドリアンはクラウスに腕を巻きつけ、キスを返した。 「うん。」
「それならいい。」 クラウスは微笑み、恋人の体に沿ってゆっくりと手のひらを撫で下ろした。 「なら、これが、第一回目の支払いだ。」
END